艶感、履き心地、すべてが完璧なイタリア産「ブーツ」

トッズ ウィンター ゴンミーニ

持ち物にはその人の品格が出る。よい物には理由があるのだ。

ファッションディレクターの森岡 弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る連載。今回は、イタリアの名靴「トッズ」のブーツをピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):イタリアの名靴、トッズですね。まだ日本上陸前、イタリアに森岡さんとご一緒したときに見つけた靴。シチリア島の靴屋で同じ靴を買いましたね。

森岡 弘(以下、森岡):あれは1980年代末、あるいは90年代初頭でしたか。トッズの特徴は履き心地のよさ。私もいろいろと靴は履いてきましたが、履いた瞬間に、「これはいい!」と声を上げましたね。あの感覚、忘れられません!

小暮:ソールに100個以上のラバーペブル(ゴム製の突起)が付き、クッション性は抜群。ドラインビング・シューズタイプの「ゴンミーニ」は、一枚革で仕立てられているので、手袋をしているようなフィット感が絶妙なんです。

森岡:シチリアで購入したのは、「ウィンターゴンミーニ」と呼ばれるもので、しかもブーツタイプ。ソールも春夏のモデルよりも厚く、履き心地もさらによく、しかも丈夫でした。

小暮:私、あのとき購入したトッズ、まだもっていますよ。ずいぶん長く履いているので、ペブルはだいぶ擦り減りましたが、まだまだ現役で履けますよ。今回紹介するブーツは、まるであのとき購入したブーツの進化版のようなデザインですね。

森岡:モデル名も同じで「ウィンター ゴンミーニ」。2足とも同じデザインで、アンティーク加工を施したカーフと、スエードを使ったモデルです。ソールにはラバーペブルが入っていて、ヒール部分に大きなラバーペブルがアイコン的に使われているのが特徴的です。

小暮:ソール全体が昔に比べるとかなり厚底風につくられ、履き口に付いているDリングが登山靴風で洒落ていますね。

森岡:どんなカジュアルにも合うブーツだと思いますね。カジュアルスタイルというと、いまはスニーカーがブームですが、このブーツはカジュアルスタイルをシックに、しかもラグジュアリーに見せてくれます。

小暮:カジュアルに似合うのはもちろんだと思いますが、ボリューミーな靴がブームな昨今、ジャケットにもよさそうですね。そういえば、トッズはイタリアの伊達男として知られたジャンニ・アニエリが愛用した名品です。彼の場合はスーツにブーツを合わせていました。

そういう意味ではトッズという靴は、ドレスとカジュアルの領域を融合させたハイブリッドシューズの先駆け的な存在でした。トッズが出てくるまでそんな靴はありませんでした。だから私たちもイタリアでこの靴に一目で心を奪われたのです(笑)。
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text by Masahiro Kogure | edit by Akio Takashiro | photograph by Masahiro Okamura | fashion direction by Hiroshi Morioka | iliustration by Bernd Schifferdecker

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