「アパルトヘイトは過去の物語か?」マンデラ5回忌に南ア女性作家が投げた問い

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ



Chimamanda Ngozi Adichie gave the keynote address at the Nelson Mandela Tribute on December 12, 2018. Picture: Karen Mwendera

「アパルトヘイト崩壊後10年経って初めて南アフリカに来たとき、私には、過去はまだ去っていないように思われました。さらに「過去がまだそこにある」 というその事実から目を背けようという、申し合わせの意図のようなものを感じたのです。多くの、さまざまな人種の南アフリカ人から口々に「虹の国」、南アについて聞かされましたが、私はその楽観をどうしても全面的に受け入れることはできなかったのです。美しく、虹色に演出されたイメージのような気がしました」

「あまりにも簡単すぎるように思えたのです……。平和を作りあげるプロセスがこんなに、耐えがたいくらい、おそろしいくらい整然としているなんて」

「痛ましい歴史の苦悩に対して、われわれには怒る権利があります、こぶしを振り上げる資格があります──。ですが同時に、歴史はわれわれを、呼吸している物語へと、奴隷制度と植民地主義のステレオタイプを超えた物語の息吹へと、いざなってもくれるのです」


Cathy Mohlahlana facilitates panel discussion at the Nelson Mandela Tribute on December 12, 2018. Picture: Karen Mwendera

モーラーラナが司会したパネルディスカッションには、セババツォ・モネリとネオ・ムヤンガも参加していた。

「アフリカには奥行き深い、多様な歴史があります。われわれが探し求めている自由の一部、われわれの真の解放は緊張の不在からは手に入らず、歴史の緊張感を受容することで獲得できる、そう私は信じています」とモネリ。


Nelson Mandela Tribute on December 12, 2018. Picture: Karen Mwendera

事実や真実を語ることについて厳しく問い直す中で、ムヤンガはこう付け加えた。「責任はわれわれ全員にあります……。植民地化に当たっては、初めの記憶を消し、入植者たちの歴史で置き換えるというプロセスがありました。つまり歴史は、植民地時代の訪れと始まり、それまでわれわれが自分たち自身について語った物語と置き換えられたのです」

翻訳=松本裕/株式会社トランネット 編集=石井節子 写真=Forbes AFRICA提供

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