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2018.12.26

「瀕死状態」にもなった米テスラ、成長軌道は維持可能か?

テスラ イーロン・マスク最高責任者(Photo by Diego Donamaria/Getty Images for SXSW)


マスクの言動が起こす問題

一方、私たちは、マスクには不正直な面もあると思うようになった。いまや不名誉な一件として知られる「同社を1株当たり420ドルで非公開化する」考えと共に「資金は確保した」とツイートしたことについて、SECはマスクが「株主に明らかなうそをついた」と指摘。

ツイートは「虚偽であり、誤解を招く恐れがある。テスラの株価に影響を及ぼした」としてマスクを提訴した。テスラはこれを認めることも否定することもなく、すでに罰金と訴訟費用、合わせて2580万ドルを支払っている。

マスクはSECの指示に従って会長職を退き、テスラはその後任として、豪通信大手テルストラのロビン・デンホルム最高財務責任者(CFO)を迎えた。マスクはこれらとほぼ同じ時期、ポッドキャストで生配信されたインタビュー中に大麻を吸っていたとみられることでも、批判を受けた。

成長は維持できるか

今年第3四半期の出荷台数がおよそ8万3000台となったEVメーカーを創設したことについて、マスクは称賛に値する。この販売台数のうち約5万6000台が、中型の高級車では米国内で最も人気のモデルの一つとなった「モデル3」だ。マスクはリスクを負って、大衆市場向けのEVを生み出そうとした。

ただ、納車待ちの台数が40万を超えている中で、競合他社がシェアを伸ばし始めている。スポーツタイプの多目的車(SUV)「モデルY」、EVトラックの「セミ」、「ロードスター2.0」などの発売を予定しているテスラを、マスクは引き続き非常に高い成長軌道に乗せていくことができるだろうか。

その答えは分からない。ヒーローでも、心を乱されることはある。47歳のマスクはアクシオスのインタビューに対し、自身が「火星に永住する可能性は70%だ」と語った。「実現は難しいだろう。それで死ぬ可能性も高い」という。

だが、それは努力をしない理由にはならない。マスクが言う通り、「エベレストでも頻繁に、死者が出でいる」。

編集 = 木内涼子

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