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2018.12.26

「瀕死状態」にもなった米テスラ、成長軌道は維持可能か?

テスラ イーロン・マスク最高責任者(Photo by Diego Donamaria/Getty Images for SXSW)

米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)にとって、ここ1年間は厳しい状況が続いた。マスク本人の口から聞くまで私たちは、それがどれほど深刻なものだったかを知らなかった。

11月下旬、米メディア企業Axios(アクシオス)のドキュメンタリー番組に出演したマスクは、テスラは破綻まで「週で数えれば2桁に届かない」状態にあったことを明らかにした。

これは、大変な事ではないだろうか──1年近くに及んだ「モデル3の生産地獄」のなか、テスラはいずれかの時点で、あと2か月と少しで資金が底をつきそうな状態だったことをCEOが認めたのだ。株主の中には、もっと早く知りたかったと思う人もいただろう。

「生産地獄」を克服

マスクは2017年10月、ツイッターに「生産地獄、~8巡目」と嘆くコメントを投稿していた。その後、年が明けて2月になると、アナリストたちはテスラのバーンレート(現金燃焼率)が同社の「継続企業の前提」を脅かしているとの見方を示し始めた。

テスラは2019年末までに50億ドル(約5670億円)相当の株式を売却する必要があるだろうというのが、アナリストらのコンセンサスとなった。そして3月、自動車業界アナリストのジム・コリンズはフォーブスへの寄稿の中で、「マスクはすぐにも資金を調達する必要がある」と指摘した。テスラ株は同月、大きく売られた。

だが、テスラは4月に米証券取引委員会(SEC)に提出した文書の中で、「標準的な与信枠を利用する以外に、テスラが今年、株式や社債の発行による資金調達を行う必要はない」と明言。マスクはそれまでの状況を跳ね返した。

 マスクは「モデル3」の生産台数を週産5000台に引き上げようとしていた時期、工場に泊まり込んでいたことを明らかにしている。「文字通り、週120時間働いていた時期もあった」という。その苦労は報われたようだ。テスラは今年第3四半期、およそ3億ドルという奇跡的な利益を上げた。
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編集 = 木内涼子

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