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デザイン思考は、産業革命の流れに応える形で発展してきたものです。「機械の時代」「電気の時代」を経て、20世紀終盤に第三次産業革命の「コンピュータの時代」に突入しました。その後、連続的に起こったインターネットとスマートフォンの普及によって、デジタルテクノロジーは世界の隅々に行き渡りました。

デザイン思考はこのデジタル化の時代に、アメリカ西海岸を中心に盛んに活用されるようになりました。使いやすいプロダクト、サービス、UIを生み出すための手法として重用されたのです。現在はデジタルが物理世界に染み出す「第四次産業革命」の真っただ中です。この時代において、デザイン思考を含むデザイン全般がさらに重視されるようになってきています。

デザイン思考は「ビジネスパーソンがデザイナーのように考えるための手法」と言われますが、「デザイナーのように」という説明ではミステリアスです。もう少し噛みくだいて言えば、デザイン思考は、ユーザーのリアルな課題、気持ち、体験などの観点を、ビジネスやテクノロジーの現場に体系的に取り込むための手法と言えます。

デザイン思考が組織内で「当たり前に使われている」企業では、ビジネス面とテクノロジー面に加え、使い勝手や体験などのデザイン面も、高いレベルで実現されたものが生まれるようになります。逆にデザイン面が考慮されていないものは、世の中で受け入れられにくくなっています。

日本ではイノベーションが起きなくなっているとも言われています。そこで企業間の連携やスタートアップと手を組むオープンイノベーションに取り組む企業が増えています。その中で、新しいアイデアを簡単に生み出す手法として、デザイン思考のワークショップをイベントとして開催している場面も散見されます。

しかし、デザイン思考を手軽なアイデア発想法と捉えるのは間違っています。組織全体で長期間取り組んでこそ、意味が出てくるものです。人の感情の動きや非合理な振る舞い、生活のリアリティなどを高い解像度で観察、理解し、それをビジネス面・テクノロジー面と掛け算し、粘り強く擦り合わせ続けることで、初めて人間や生活にぴったりとはまる良質なプロダクトが生まれます。

デザイン思考は長い期間、ビジネスやテクノロジーと組み合わせ続けられてこそ、その力量を発揮するのです。

構成=フォーブス ジャパン編集部

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