予想外の大ヒットが続々誕生、2018年のベストムービー15


「モリのいる場所」 5月19日公開
「南極料理人」や「横道世之介」の沖田修一監督の作品。日本画壇で孤高を誇っていた伝説の画家、熊谷守一夫妻を描いたヒューマンドラマ。山崎努と樹木希林という超一級の役者を配し、不思議な息遣いが聞こえてくる作品をつくりあげた。主人公が逍遥を繰り返す繁茂した庭も見所のひとつ。

「カメラを止めるな!」 6月23日公開
公開週に劇場に足を運んだが、まさかこれほどの大ヒットになるとは思いもしなかった。今年の邦画で、最大の話題をさらった作品。ワンショットで撮った前半37分間のゾンビ映画の舞台裏が、その後の物語で明かされていく。胸にストンと落ちるエピソードの回収は、観ていて爽快ですらある。

「寝ても覚めても」 9月1日公開
インディーズでありながら、海外の映画賞で受賞経験も豊富な濱口竜介監督が、初めて手がけた商業映画。「万引き家族」と同じくカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品。失踪した恋人とそっくりな顔を持つ男性と恋に落ちてしまう女性が主人公。繊細で熟考された描写は卓抜。

「愛がなんだ」 10月28日、31日東京国際映画祭で上映
2017年の東京国際映画祭で観客賞に輝いた「勝手にふるえてろ」にも匹敵する、こじらせ系女子の哀しい恋愛模様を描いた今泉力哉監督の作品。ひと目惚れした彼が、生活のすべてとなってしまう28才OLを、岸井ゆきのが好演。東京国際映画祭の観客賞はこの作品にあげたかった。

「生きてるだけで、愛」 11月9日公開
個人的には2018年の邦画ベスト1。本谷有希子の小説をAKB48やMr.ChildrenなどのMVを手がけた関根光才が初監督した作品。主演の趣里の体当たり演技も素晴らしいが、初めての劇映画とは思えない考え抜かれた映像と構成で描いた監督の才能に注目。菅田将暉の演技も秀逸。

連載 : シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

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