テスラの将来性、鍵となるのは車ではなくバッテリー

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バッテリー製造は、世界で最も重要な産業の一つになりつつある。この業界を支配する企業は多くの場面で特権的な地位を握り、発電はもちろん、自動車から家庭用製品までさまざまな業界に製品を供給することになる。マスクが12年前、テスラの「秘密のマスタープラン」を説明したとき、彼はより安価な電気自動車の製造だけでなく、無公害の電気生産の実現についても語っていた。

これは、テスラ車に関する論争の中で多くの識者が見失っていたポイントだ。テスラの未来の鍵は、まさに目前に「隠されて」いた。それは、ネバダ州の砂漠の中にたたずみ、間もなく世界各地でも建設される巨大バッテリー工場だ。

黒字を上げ始めたテスラにとって、戦略の要はバッテリー生産だったのだ。元GM副会長のボブ・ラッツを始めとする自動車業界の重鎮がテスラのロードマップを理解できなかった理由は、テスラは自動車企業ではなくバッテリー企業だからだ。

テスラは、人や物の輸送をめぐり他の自動車メーカーと争う自動車企業ではない。テスラ車は、同社の主要製品であるバッテリーの“消費者”なのだ。このバッテリーは自動車だけでなく、巨大な蓄電施設や家庭、あらゆるタイプの電気設備に使用されている。

この市場の重要性は今後、自動車業界をはるかに超えるだろう。自動車は消費者製品からサービスへと進化することで必要台数が減少し、現在交通渋滞と空気汚染を引き起こしている自家用車の過剰利用はなくなっていくはずだ。

テスラを自動車企業として見るのをやめ、同社はそれよりもずっと野心的な将来の目標を抱えていることを理解すべきだ。

編集=遠藤宗生

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