テスラの将来性、鍵となるのは車ではなくバッテリー

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テスラが米ネバダ州に建設中のバッテリー工場、通称「ギガファクトリー」は、世界最大の敷地面積を誇る建物となる見通しだ。また、中国の電気自動車大手、比亜迪(BYD)が来年末までに完成させる予定の工場を除けば、世界最大のバッテリー工場となる。

テスラは、将来に向けて最も重要な技術の一つであるバッテリー分野での支配権を握るべく、他社との競争を繰り広げてきた。パナソニックと提携するテスラは、同分野で最も有力な企業の一つとなり、変化と競争が激しさを増す市場での事業拡大能力を強化し、自動車業界をはるかに超えて誰もが知るブランドを築くとともに、クリーンエネルギーの世界へと移行を果たす上で鍵となる産業の一つを形作ることになる。

欧州の自動車業界では今後、バッテリー供給での中国への依存度がますます高まるだろう。また、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は複数の国からギガファクトリーの建設を求められている。


テスラが米ネバダ州に建設中の「ギガファクトリー」

再生可能エネルギーの供給量問題については、リチウムイオン電池技術が解決策となることを示す明確な証拠がある。同技術の将来を疑問視する人々は原材料不足の問題を指摘しているが、この問題はリサイクル技術の向上で解決されつつある。電池は化石燃料と違って化学物質を燃やす必要がなく、燃焼後の大気汚染がない点で優れている。

だが、電気自動車の自律性が向上し、輸送業での排ガス量が減少するにつれ、バッテリー技術が持つ制約は少ないことが分かってきた。テスラ車は10年以上前から数十万キロの距離を走行してきており、そのバッテリー寿命は電気自動車技術に批判的な一部の人々が予期していたよりも格段に良い。

しかし、テスラにとっての鍵は、自動車業界を超えた未来を見据えることだ。同社はオーストラリアに、電力供給のバランスを取るための巨大なバッテリー施設を建設。同施設は利益を上げ、運転1年目にしてコストの3分の1を回収する見通しとなっている。
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編集=遠藤宗生

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