都市部で人気のeバイク オランダ発「VanMoof」試乗レポ

eバイク(Photo by Timur Emek/GC Images)


まず良い点を挙げると、この自転車は試験期間中盗まれることもなく、至って安全だった。試乗期間は短かったものの、私の隣人には過去に自分が盗んだ自転車の数々について自慢するような人もいるため、自転車を一晩中通りに放置しても盗まれなかったことを考えれば安全性は証明されたと言えるだろう。

バンムーフの自転車は明らかにスポーツバイクらしくないサイズだ。シティバイクのデザインに、がっちりとしたタイヤが付いていて、ロンドン市内の穴だらけの道では非常に快適だ。電動エンジンがついているため、ほとんど汗をかくことなく目的地に到着できる。また、泥よけやチェーンガードもついていて、服を汚さないよう設計されている。

自転車を解錠するためには、Bluetooth(ブルートゥース)で携帯電話と接続する必要がある。接続がうまくいかないことが数回あり、同社のサポートデスクはすぐにつながらないことも問題だが、設計の根本的な問題のみならず慣れの問題でもあるのだろう。

持ち運びの不便さ

良い点は上記の通りだが、悪い点は主に、私が持つ一般的なロードバイクの約2倍、18kgという重さに関わるものだ。走行中は自転車の重みをモーターが相殺してくれるためあまり問題にはならないが、大変なのは持ち運び時だ。

私の場合、電灯をつけて電動アシストをフル稼働させた状態だと、充電100%の状態からゼロになるまでに3~4時間かかった。充電するにはアパートの中に自転車を持ち込み、電源につなぐ必要があった。この自転車を担いで階段を上がるのは楽とは言えず、これほどの重量を扱えない小柄な人に向いているかどうかは分からない。

また、この自転車には特に制約の大きい設計上の欠陥がある。身長165cmの私は、サドルを最も低い位置に下げる必要があった。つまり、私よりも身長の低い人は乗ることができないのだ。オランダ人が高身長なのは有名だが、明白な機能上の理由もなくこのような設計を採用した理由は腑に落ちない。

総じて、この自転車には優れた点があり、安全性機能を支える技術はよくできている。しかし、ブロンプトンの折りたたみ式eバイクのような競合モデルと比べると、非常に大きな欠点が複数存在する。ブロンプトンのeバイクは性能面で優れた点が多い上に、公共交通機関や作業場所にも持ち込める。

このように便利な競合製品が存在することから、急速に成長を遂げるeバイク市場でバンムーフが真の隙間市場を見つけることは難しくなるだろう。かなり高額であることも考慮すると、モバイル化が進む都市労働者にとってはおそらく、もっと良い移動手段が存在するのではないだろうか。

編集=遠藤宗生

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