Close RECOMMEND

We write about trends and challenges impacting U.S. infrastructure.


宇宙商業化の成功に必要だが見過ごされがちなものとしては、「交通整理」もある。宇宙は無限に広いと思っている人も多いだろうが、地球の周回軌道上は日に日に混雑してきており、運用中の人工衛星は2000基近く、運用を停止した衛星は数千基もある。さらには、超高速で軌道を周回する1cm以上の宇宙ごみも80万個近く存在する。衛星企業や政府が打ち上げる衛星の数はこの先10年で3倍に増えるとの予測もあり、周回軌道の混雑は憂慮すべき問題だ。

ここで登場するのが、ヒューストンのスタートアップ、コグニティブ・スペース(Cognitive Space)のような企業だ。同社は、多くの企業が地上の道路交通で試みているように、衛星の運営を自動化し、各衛星のモニタリングや管理に人間が関わる必要性を軽減するべく、人工知能(AI)を搭載した管制システムを開発している。

同じく宇宙インフラシステムを開発しているのが、ビゲロー・エアロスペース(Bigelow Aerospace)だ。ホテル王の富豪ロバート・ビゲローにより1999年に創設された同社は2016年、従来型モジュールよりも輸送が大幅に容易で安価な「膨らむ住居モジュール」を発表し、大きな注目を浴びた。

ビゲローは今年、この膨らむモジュール技術をベースとした民間宇宙ステーションを開発する企業、ビゲロー・スペース・オペレーションズの創設を発表した。膨らむ住居棟の使用は、大きな構造物を迅速に設置できるため、宇宙の商業化を大きく加速させる潜在性を秘めている。このアプローチは、プレハブ住宅に似た利点が幾つかある。低コストで、素早く設置でき、柔軟性に優れるといった特徴はすべて、宇宙での生活の敷居を下げることにつながる。

宇宙商業化の成功に欠かせないインフラを作るこれらの企業(ここで挙げた以外にも新旧問わず多くの企業が存在する)は、ロケット製造会社と同様に重要だ。未来の宇宙旅行には、住む場所や働く場所、十分な食料や水、精巧な廃棄物管理システム、宇宙空間にある機器や地球の人々とつながる方法、そして混雑さを増す軌道上の安全な通行の確保が必要だ。

宇宙産業が成長を続けるにつれ、政府機関の意思決定者や民間の提携企業、ベンチャー企業出資者にとって、宇宙を人類に開くためにはドラマチックさでは劣るこれらのシステムも等しく必要であると認識することが重要になるだろう。

編集=遠藤宗生

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい