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ブラジルに学ぶ「幸福」をつくる教育 

Jacob Lund / Shutterstock.com

首都圏の高校生30名に質問したことがある。

「人生の幸福度について、今を10とすると、20歳時点、30歳時点ではどのくらいになっていると思う?」

彼らの大半が幸福のピークは大学生時点と考えているようだった。高校生時点の幸福度を10とすると、20歳時点では平均15、そして30歳時点では平均8。「大学生活はいっぱい遊べて楽しそうだけど、社会人になったら働かなくちゃいけなくて大変そう」ということらしい。

たしかに毎日、満員電車に揺られる疲れた顔の大人たちを見ている彼らにとっては「働く=つらい」と映るのかもしれない。子供達はそんなつまらない未来に向かって生きているのだろうか。「10代よりも20代、20代よりも30代が幸せ」だと言えるような未来は作れないのだろうか?

勉強時間はもっと減らせる!

前回までに、海外では、テクノロジーを活用して基礎学力習得にかける時間を大幅に効率化し、その分増える時間で自己表現力などの「社会でいきる力」を伸ばす教育が主流になりつつあることを述べてきた。実は日本でもそんな新しい教育が始まっている。

東京・本郷にあるZ会の学習塾「Z会東大個別指導教室プレアデス」内にあるラーニングラボ。ここでは様々な新しい教育が行われている。



ある集団は、黙々とタブレットを使用しながら集中して勉強している。各生徒が向き合っているタブレットの中にAIの先生がいて、AIが生徒の得意、苦手、伸び、つまずき、集中状態、忘却度などのデータを分析しながら一人ひとりに最適化された教材を自動作成している。クラス全員が一律の授業を受けるのと異なり、一人ひとりが自分専用のオーダーメイドの学習を進めているのだ。勉強が効率化している。

「勉強時間が大幅に短縮できるので、部活を頑張ったり好きな本を読んだりと別のことに時間を使えるようになった」

中学生の間に、高校数学が全部終わってしまった生徒もいるそうだ。

今日よりも明日──未来に希望を育てる教育

AIを活用して短時間で基礎学力を習得した生徒は、授業後に数学の先生と、数学の知識の活用方法についてディスカッションをしている。「経済学部に行きたい!」という生徒に対して、先生が「高校で学ぶ“確率”や“データの分析”は、大学の経済学部の授業でも役立つぞ!」とアドバイスするといった具合だ。今の学びが将来どのように役立つのかという話を聞いて、生徒の目はキラキラと輝いていている。

また別の集団では、高校生の生徒と大学生の先生が、キャリアについてのディスカッションをしている。就職活動を終えたばかりの大学生の先生は「色々な業界でインターンシップをしながら自分のやりたいことを考え抜いた結果、僕はベンチャー企業に行くことにした」と熱く語っている。

高校生の生徒は自分が興味を持っている職業の質問をし、大学生が就職活動で調べた色々な業界の説明をし、一緒になって将来やりたいことについて議論しているのだ。社会に出てからの仕事について話し合っている彼らは、はたから見ていてもとても楽しそうだ。

文=稲田 大輔

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