テクノロジー

2018.12.31 10:00

小型版スペースシャトル「ドリーム・チェイサー」が本格始動

小型版スペースシャトル ドリーム・チェイサー(Photo by Kevork Djansezian/Getty Images)

ドリーム・チェイサー(Dream Chaser)という名の小型宇宙船がNASAの承認を受け、早ければ2020年後半に、国際宇宙ステーション(ISS)へ初飛行を行うことが決まった。

ネバダ州本拠のシエラ・ネバダ・コーポレーション(SNC)が製造するこの宇宙船は、NASAの商業軌道輸送サービス(CRS-2)のミッションを担当するための承認を受けた。

ドリーム・チェイサーの機体はスペースシャトルの4分の1ほどの大きさで、長さは9メートル程度。使い捨てロケットのアトラスVに搭載されて宇宙に向かうが、ドリーム・チェイサーは30回の再利用が可能な宇宙船だ。

ドリーム・チェイサーは翼を持ち、地球に戻る際は自力で飛行し滑走路に着陸するため、宇宙から資材や実験器具を持ち帰ることが可能だ。現状で同じ能力を持つ宇宙船は、スペースXのドラゴンカプセルのみとなっている。

2017年にSNCはフリーフライトと呼ばれるテストを実施し、ヘリコプターから投下されたドリーム・チェイサーが滑空し、着陸可能であることが確認された。

しかし、これまで同社はいくつかの困難にも遭遇していた。2013年のフリーフライト試験では、着陸時に車輪が出ず、機体が破損するトラブルに見舞われた。また、SNCは2014年に、NASAの民間有人宇宙飛行船開発プロジェクトへの参加を申請したが、選ばれたのはスペースXとボーイングだった。

その後もSNCは開発を続け、2016年にNASAのCRS-2の参加企業に選定された。CRS-2のミッションは無人飛行だが、同社は将来的に有人飛行を行うことも視野に入れている。

SNCは今回のNASAとの契約で、最低6回の輸送ミッションの遂行を任された。これは最大で5500キロの重量の貨物をISSに届け、宇宙から1850キロの貨物を持ち帰る任務だ。

SNCはコロラド州ルイビルに製造拠点を置いており、そこでドリーム・チェイサーの組み立てを進めている。機体の後部には補給物資を載せるカーゴモジュールが取りつけられる。カーゴモジュールはISSに物資を届けた後、大気圏再突入の際に放出され、燃え尽きる仕様になっている。

「NASAから承認が得られたことで、ドリーム・チェイサーが初の宇宙飛行を行う日が近づいてきた。宇宙ステーションに補給物資を送るという重大な任務を我々は遂行する」とSNCのCEOのFatih Ozmenは声明で述べた。

2019年にはスペースXとボーイングが、それぞれ有人宇宙船の「クルー・ドラゴン」と「スターライナー」を宇宙に送り込む。競争が激化する宇宙分野で、SNCは先行する2社を追い上げようとしている。

編集=上田裕資

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