ちなみに、リゾートの語源をご存知でしょうか?
一説では、フランス語の「re(再び)」「sortir(外に出る)」と言われており、そう考えると、世界中のどのリゾート地も、また戻りたくなるような自然に癒される場所だなと思います。リゾート地はいつでも戻ってこれる場所、観光地は一度行けば満足する場所という感じでしょうか。
また別の説では、「re(戻る)」「solt(塩)」という説もあり、リゾート地が塩分の多い海や、山が多いのも納得できます。
ホアヒンは、タイ王室のリゾート地として有名になりましたが、現在は世界中から訪問が多く、別荘地として開発も進んでいます。それは、今も昔も人の行動は変わらず、疲れた時には自然に癒されたくなるのかなと思いますが、世界中どこでも行けるようになったのは文明の進化のおかげです。
僕の住むニースも同じで、観光地ではなくリゾート地として世界の人々を魅了していて、この一帯のコートダジュールに別荘を構えて毎年癒されに来る人が多いのは、これもまた、今も昔も変わりません。
またニースとは、ニカイア(Νikaia)という古典ギリシャ語が語源。ニカイアが「ニケ(勝利)の街」を意味することから、きっと、勝者が戦いの疲れを癒しに来てたのではないかと思います。ちなみにニケはNikeと書き、あのスポーツメーカーナイキの元である、ギリシャ神話の勝利の女神「ニーケ」と同じルーツです。
ホテルの語源は「旅人、客、宿主」を意味する「ホスピス(hospes)」。これから分かれて生じたものに「hospitalis(手厚いもてなし)」というものがあり、その変形がが中世ラテン語で「巡礼や参拝者、旅人のための宿泊所」を意味していました。
それがフランス語で「hospital」となり、「hotel」となったと言われていますが、今や「hospital」は病院。「hotel」も宿泊施設という意味でしか理解されておらず、ラグジュアリーで非日常を味わう場所というイメージの方が強いように思います。
ルーツを大事に土地に合わせて
では、リゾート地のホテルとして、そのオリジンを大切に「ヘルスリゾート」と名乗るチバソムは、訪れる人をどのように人生を変えるのでしょうか? 進化なのか、再生なのか、それとも見切りをつけた退化なのか。実際訪れてみて、自分を見つめ、気づき、考えるきっかけを提供しているホテルのように感じました。
チバソムでは、料理に使う野菜の多くを自社農園などで栽培している
「喰い改めよ!」と、食を中心に添えた見直しの必要性を書き続けていますが、リラックスできる環境で五感を取り戻すことができるホテルは、人生をより豊かに生きるためのリカレント教育の場、人生のリセットをできる場所として、日本にも作る必要があるのではのかと思いました。
ルーツやオリジンを見直して、その土地に合ったオリジナリティ溢れるコンセプトなホテルを作る。それがきっと、日本の未来につながっていくはずです。
連載:松嶋啓介の喰い改めよ!!
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