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#醸し人

Goran Bogicevic / Shutterstock.com

利益向上、市場拡大、株価上昇と目に見える成果を追い駆けることばかりが正解とされなくなりつつある今日。ではこれからの組織、ひいては私たち個人はどう在ることが求められるのだろか──。

そのヒントを探るべく、日本酒蔵の多様性を引き継ぐことを目的に事業展開を進めるナオライのメンバーが、これからの社会を創るキーパーソン、通称「醸し人」に迫ります。第1回はマツダ代表取締役副社長の藤原清志さん。

モノづくりの真髄自動運転をやらない理由に続き、ゴールの設定と共有の仕方について話を聞いた。


「なぜマツダなの?」をひたすらに考え続ける

三宅:藤原さんのリーダーシップは「俺の言う通りにしろ」「とにかく働け」的な厳しさでなく、「ちゃんと考えろ」ということを言われ続ける所にある気がします。普段、社員の方を先導する上で意識されていることはあるんですか?

藤原:夢がないと。それに向かって仕事しないと。人にやれって言われたってできやしない。

私は「皆であそこに向かっていこう」というゴールは強く示します。そこから逸れてる時は厳しく言うけど、正しい方向に真っ直ぐ向かっている時は、時間が掛かっても、仮に達成できなくても厳しくは言わない。正しい方向にさえ向かい続ければ、いつかはそこに辿り着けるわけじゃないですか。


藤原清志 / マツダ代表取締役副社長執行役員 社長補佐、北米事業・研究開発・MDI統括

三宅
:2万人以上いる社員の方に向けて、ゴールはどのように示されるのですか?

藤原:車が好きで、マツダに惹かれてこの会社に入った人たちの中には、ある種のDNAが流れている。そのDNAを持つ人の内側には、大なり小なり違いはあれど、車に対する想いがあるわけですよ。それを言葉にしてあげると「あ、そうだった!」って、元々自分の中にあったものが呼び戻される。そこで初めてゴールを示してあげる。

逆にそうでない人に対して「こっちの方向だ!」って言うことは、非常に難しいと思うんですよね。

三宅:例えば、弊社ナオライは、全国の酒蔵の多様性を守ることをゴールにしていますが、どうしても視点が自社にばかり向いてしまいがちです。

藤原:置かれている状況が近いね。実は、私は2つの顔を持っているんです。マツダ副社長の顔と、EV C.A. Spirit(マツダ、デンソー、トヨタ自動車の3社2017年に設立し、自動車の基本構造に関する共同技術開発を進める合弁会社)の部長の顔。

EV C.A. Spiritでは、車メーカー各社が集まって、電気自動車(EV)の開発をしている。日本のEVを世界で勝てるものにするため、会社を超えて皆で協力しましょうという姿勢でやっているんです。ここでは一気に頭を切り替えて、マツダのためだけでなく、日本産業のため、部品会社のため、皆のため、を考えてる。まぁ、大変ですよね(笑)。

でも、私自身もそうですが、2つの顔は作用しあっている。つまり、ナオライさんでいえば、全国の酒蔵を考えることは、今やっている本業の方に活きるということです。長寿企業の継承と、そのための変革。その両方の側面を持つことになるから。ロードスターもそうなんですよ。保つために変革しているところが沢山あります。

一般的には良いものができると、それ(手段)に頼り切って維持しようとする。でも、すると廃れる。だから元々持つ本質は維持しつつ、変革していくことが必要だと思うんです。日本酒もいずれそんな時代が来る。そしてそのヒントは、全国の小さな酒蔵にたくさんあると思う。

監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり

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