「成果が出るまで長い、成果が見えにくいCVCは、景気の変動とともに定期的に浮き沈みを繰り返してきた。米国でもCVCが根付くまでに、何度も減少トレンドを乗り越えてきた歴史がある。日本のスタートアップ市場は12年以降、右肩上がりの成長を続け、CVCも100社以上存在するなど増加しているが、19年から同市場が調整局面を迎える可能性が高い。2000年代前半のようにCVCを一過性のブームで終わらせないための支援する仕組みが必要だ」(グローバル・ブレイン百合本安彦社長)
米国では、スタートアップ・エコシステムの中で、グーグル、インテル、セールスフォース・ドットコム、クアルコム、GEらに代表されるCVCが重要な役割を担っている。18年1〜3四半期のCVC投資額は393億ドル(米PitchBook調べ)。全体の841億ドルの約45%程度を占める。
日本でも、日本経済新聞社の「社長100人アンケート」(17年12月調査)によると、「CVCをすでに設立、検討している企業は約3割強」で、日本の大企業によるスタートアップ企業への投資を通じての新規事業育成、研究開発は進んでいる。電機・IT企業に止まらず、多種多様な業種でのCVC設立が従来とは異なる傾向で、存在感を高めはじめている。
一方で、PwCアドバイザリー調査によると、CVCの約3割が「自社ファンドの運用が順調ではない」と感じており、景気の波によるCVC撤退リスクはある。
「α TRACKERS」は、大企業がCVCならびにオープンイノベーション推進を継続していくための支援に取り組み、大企業を牽引役として、これからの日本型スタートアップ・エコシステムの発展に寄与する。
「(米PitchBookによる)米国のCVC投資件数の推移を見ても、00年、07年、15年をピークに3度減少トレンドが起きながら、成長してきている。日本でも、景気の波に左右されずにCVCを定着させるためには、各CVC活動を強化するためのコミュニティが必要だ。
海外の先進的な情報や、トップマネジメントの方針やチーム体制、評価基準、担当者の異動ルールなどといった公開されにくい情報を共有すること。PRをはじめとしたアウトプットを通じた社内外の味方づくりが重要になる。だからこそ、トップを走り進化を加速している企業を集め、日本の進化型CVCのムーブメントづくりを目指す」(百合本)
参画企業は、大林組、講談社、資生堂、住友林業、ソニーフィナンシャルホールディングス、電通国際情報サービス、東日本旅客鉄道、三井住友海上火災保険、三井不動産、安川電機、ヤマトホールディングス、楽天、ANAホールディングス、JTB、KDDI、TBSテレビの16社。Forbes JAPANはメディアパートナーとして関わる。