ビジネス

2018.12.19

不確実性の時代を生き抜くカギは「チーミング」にあり

イラストレーション=山崎正夫

不確実性の時代を生き抜くカギは「チーミング」だ。そう提唱するのが、ハーバード大学ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授である。チーミングとは、協働するという意味の動詞だ。

2014年、『チームが機能するとはどういうことか』を出版。昨秋には、“Extreme Teaming:Lessons in Complex, Cross-Sector Leadership”(『究極のチーミング─複雑な、セクターを超えたリーダーシップ』)を上梓した、世界を代表する経営学者の一人、エドモンドソン教授に話を聞いた。


──あなたは、著書『Extreme Teaming』のなかで、現在の企業環境では、境界を超えたチーミングの重要性が増していると書いています。「チーミング」の定義とは?

チーミングには、組織内で行うものと、異なる組織間で行うものがある。組織内でのチーミングとは、職務や地理的な場所、事業単位など、水平的な境界を超えた協働や連携を指す。

2つ目が、異なる組織間のチーミングだ。組織内のものより普及度は低いが、サプライヤーや顧客とのエコシステムで、異なる企業と連携する場面が増えている。たとえば、不動産開発では、開発業者や建築会社などが異なる役割を担い、プロジェクトを進める。イノベーションには、企業間での連携が必要だ。

──Extreme Teamingと名づけた理由は何ですか。なぜエクストリーム・チーミングが重要なのでしょう?

複数の企業が集まり、通常とは大きく異なるプロジェクトを遂行しようとすると、普段とは違う難題が生じる。従来のチーミングを超えた、よりエクストリーム(極端)なバージョンのチーミングが必要になるという意味を込めて、この題名を付けた。

過去の栄光が、もはや将来の成功を保証してくれない時代にあって、イノベーションの必要性を感じ、異なる組織とチームを組む企業が増えている。エクストリーム・チーミングが重要になってきているのは、そのためだ。

本でも紹介したが、病院がソフトウェア会社と連携し、自宅にいる患者の健康状態をチェックするソフトウェアなど、患者の健康をサポートする方法を見出した例もある。

チリの鉱山落盤事故も好例だが、タイの洞窟遭難事故も、複数の国や企業、軍部などが連携したエクストリーム・チーミングの成功例だ。少年を鎮静剤で眠らせ、ダイバーが小型担架で救出するなど、さまざまなアイデアを思考錯誤し、その結集が人命を救った。
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編集=フォーブス ジャパン編集部 インタビュー=肥田美佐子

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