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ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist


──ハーバード・ビジネス・レビュー(2016年6月号)の「業界を超えたチームで成功する法」で、「十数件の業際型イノベーションプロジェクトを調査した」と述べられています。成功例には、順応性のあるビジョンや専門知識の共有、心理的安全の確保、実験と学びの反復という4つの共通点があったそうですね。

成功例では、業界を超えたプロジェクトを待ち受ける不確実性や、スタート地点における相互理解の欠如を真摯に受け止めていた。コミュニケーションプロセスが丹念に構築されており、試しては学ぶことで(ビジョンを変動・進化させ)、さまざまなアイデアを結合させ、真に新しいものを生み出すことができた。

一方、失敗例では、異業種間の専門知識と組織による文化的衝突を克服できなかった。自分たちが知っていることは相手も知っていると思い込み、十分な話し合いを重ねなかった。

プロジェクトの進展とともに実験と学習を繰り返し、時にはゴールの変動もやむをえないという認識も確立されていなかった。相互理解の努力も見られなかった。アイデアの硬直性も目立つ。また、プロジェクトは、実践と学びの反復だが、失敗例では、単なる計画の遂行だとみなされていた。

成功事例のリーダーは、情熱と謙虚さを兼ね備えていた。プロジェクトの将来性を理解し、チーム全員で学ぶ機会を大いに作り、自らの知識を過信せず、新しいアイデアを歓迎しては試すというプロセスを設けていた。プロジェクトを学習の道程としてとらえていたのだ。境界を超えた関係構築にも熱心だった。

また、人々が失敗を恐れずに発言し、質問をぶつけ、新しいことを試せるような場を作り、「心理的安全」を確保することへの絶対的な必要性も理解していた。業際型イノベーションに必要な4つの慣行のうち、心理的安全が最も大切だ。

今年11月には、新刊“The Fearless Organization: Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation, and Growth”(『恐れ知らずの組織─学びとイノベーション、成長を求めて、職場に心理的安全の場をつくる』)も出す。

人々が声を上げ、助けを求め、クレージーなアイデアを提案できるよう、心理的安全を確保することが大切だ。世界が、不安定で複雑化している今、心理的安全が優れた結果を生むことは実証済みだ。本では成功例と失敗例を挙げ、リーダーが何をすべきかを示している。

──ニューヨーク・タイムズ・マガジンの2016年2月25日付記事“What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team”(グーグルが、完璧なチームづくりへの探求から学んだこと)で、教授の「心理的安全」の研究が紹介され、注目されました。なぜ組織において、心理的安全の実現が重要なのですか。

不確実性と相互依存性が高いプロジェクトを進める際、正しいやり方を見いだすには、効果的な対話を重ね、互いを理解し合う必要があるからだ。

質問や提案、懸念を口にすると上司から煙たがられるのではないかと感じ、発言を控えるような職場では、パフォーマンスの質が低下する。過程や結果が見通しにくく、他のチームと深くかかわり合いながら進めるプロジェクトでは、心理的安全がないと、いいパフォーマンスが期待できない。

編集=フォーブス ジャパン編集部 インタビュー=肥田美佐子

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