ビジネス

2018.12.19

次なる事業トレンドは「FinTech2.0」「DeepTech」にある

グローバル・ブレイン 百合本安彦


ポスト・メルカリ時代は「DeepTech」に期待

また、個人的には一部の有望なスタートアップを除いて一巡感があるため、3年くらい前からDeep Tech領域に注力しています。具体的にはAI(人工知能)のエンジニアなどをキャピタリストとして採用し教育をしたことで、昨年くらいから一気にDeep Tech領域での投資活動が加速していっています。

例えば、AI、サイバーセキュリティ、自動運転、ロボティクス、宇宙、ブロックチェーン分野の投資件数が増えています。AI分野では、工場周りのオートメーション、自動運転や監視カメラの動画像認識、Robotic Process Automation。

工場関連のサイバーセキュリティ分野では遠隔操作ロボット、ウェアラブル。家庭用ロボットなどのロボティクス分野では衛星データ解析・小型衛星プラットフォーム。宇宙旅行などの宇宙分野では動画像認識関連・周辺監視センサー技術。自動運転シュミレーターなどの自動運転関連分野などです。

DeepTech領域は社会実装に向けて大きな節目を迎えており、その社会実装をサポートできる体制を構築・推進するとともに、まずはエンタープライズソリューションと、そのためのテクノロジースタッフの採用を中心に今後も投資を進めていこうと思っています。

また昨今、多くのベンチャーキャピタルは「スタートアップは最初からグローバルを目指すべき」と言っていますが、海外を見ているベンチャーキャピタルは少ない。

それでは全然説得力がありません。ですから、私たちは5〜6年前くらいから、海外拠点もつくり、海外のトップティアVCと共同投資をすることも進めており、現状、比率で言うと全体の3割くらいが海外企業への投資になっています。

山田進太郎、松本恭攝のどこがスゴいのか?

今年上場したメルカリ、ラクスルも今後が楽しみです。山田さん、松本さんは構想力がすごく、いまのビジネスで終わりと思っていない。足元のビジネスもまわしながら、次に仕掛ける事業のことも常に考えている。

世の中に“上場したら終わり”みたいな会社もあるのですが、彼らはまだまだ終わる気配がない。2人は異なるタイプの経営者ですが、どちらも構想力が高く、素晴らしいと思います。

最近の起業家は山田さん、松本さんのようなお手本となる経営者が身近にいて、相談に乗ってくれるというのは恵まれているなと思います。彼らの存在はとても大きい、例えば、弊社の投資先のBASE鶴岡社長はその恩恵を受けている1人です。

山田さん、松本さんの存在は日本のスタートアップ・エコシステムにとってすごく良い影響がある。彼らから刺激を受けて、次に続く起業家、スタートアップが生まれてくれば、もっともっと日本のスタートアップ・エコシステムは成熟していくと思います。

写真=小田駿一

タグ:

連載

日本を動かす起業家たち

ForbesBrandVoice

人気記事