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「恋人とケンカして辛いなら休めばいい」 残業ゼロを守る経営者の意思と理念 #WOMENAWARD

中村朱美 / minitts代表取締役

中村朱美が京都で展開する「国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋」は、残業ゼロ。1日の販売数は100食に限定し、営業時間内に売り切って定時になったら全員が帰宅する。

「社員全員がワークライフバランスをとるには、経営者の確固たる意思と理念が必要」と、中村は言う。そんな彼女自身が大切にしているのは、「家族で晩御飯を一緒に食べられること」。


──短時間勤務やフレックスタイム制の導入が多くの企業で勧められていますが、「制度を利用した本人だけが終業しても、他の社員が働いていたら完全には仕事から離れられない」という指摘もあります。「国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋」のシステムは、そんな課題も解決していますね。

夫と二人で飲食・不動産事業を行う「minitts」を起業したときに、「自分たちが働きたい会社にしよう」と決めたんです。

自分が働きたい会社ってどんなものかと考えた時に、次に思い浮かべたのが、自分の生活のなかで大切にしたいのはなにか、ということだった。

私の場合は、それが、家族で晩御飯を一緒に食べること。そのためには毎日定時に帰宅したい。じゃあ、定時に帰れる職場を作ろう、となったんです。

そこで、国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」を始めるとなったときに考えたビジネスモデルが「本当に美味しいものを1日100食限定で売り切って、社員全員が残業ゼロで終業」でした。

──「家族で晩御飯を一緒に食べること」を大切にするようになったきっかけはありますか?

21歳のときにオーストラリアに留学したのですが、そのときにホームステイした家族のお父さんが、毎日17時頃に帰宅していたんですね。

2週間ほど滞在していたのですが、私がホームステイしているから特別に早く帰ってきているわけではなくて、彼らの間ではそれが当たり前だったんです。

夕方には家族が家に揃って、みんなで晩御飯を食べていて。そのときに感じた、家庭の温かい雰囲気や人生が充実している感じがとても素敵だったんです。

仕事は大好きですし、働くことは楽しい。仕事って、本来は人生を豊かにするためのものであり、心をすり減らすものではない。それに、プライベートが充実したり、自分の人間としての基盤や生活のベースができていてこそ、仕事を楽しむことができると思っています。
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文=吉田彩乃 写真=山添雄彦 スタイリング=石関淑史 ヘア&メイクアップ=古瀬理久子

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