私がテスラ「モデル3」をまだ欲しくない理由

テスラ モデル3(Photo by Chesnot/Getty Images)


「レベル5」に対応可能か?

人間が運転するよりも、自動運転の方が安全になるというマスクの主張には同意する。自動運転機能の方がとっさの判断に優れており、人間のように注意散漫になったりすることもないだろう。

ただ、自動運転機能が「レベル5」(完全自動運転)の水準に達するまでには、まだ何年か(5年以上?)かかり、開発の途中ではさらに多くの死者が出ることも考えられる。

私が特に心配なのは、テスラとマスクがどれほど問題ないと保証しても、モデル3の最初のバージョンが、レベル5の自動運転機能に対応するためのアップデートに必要な全てのハードウェアを備えているのかということだ。

ここ数年、車を運転していて気になるのは、道路の状態や標識がずっと同じではないということだ。車線がはっきり見えなくなっていたり、ほぼ消えてしまっていたりする場所もある。前回通ったときには行われていなかった工事が、いつの間にか始まっていたということもある。気象条件も一定ではない。

モデル3を試乗中、高速道路を走っている途中で、同乗していたセールスマンが車に対し、ショールームに戻るよう指示した。だが、最初の出口で降りるとその人は私に、再び高速に乗るために、いくつかの角を曲らなければならないと言い出した。そして高速を降りると、ショールームまでは私が自分で運転するようにとのことだった。

これは、途中にある標識の全てを車が認識していないためのようだった。だが、そのショールームにあるテスラ車は1日のうちに、何度も同じルートを通っているはずではないのだろうか。これでは、「もうすぐレベル5が実現される」という愉快な気分で試乗を終えることはできない。

モデル3を受け取るのは、全てのバグが修正され、アップグレードが完了し、必要なテクノロジーが全て搭載されたことを確認してからでいい。自動運転は素晴らしい機能だが、現時点ではまだそれは、実際には「運転支援システム」と呼ばれるべきものだ。
(筆者はテクノロジー企業に関する情報を提供する元アナリスト。以前はインターネットセキュリティ・ソフトウェアの分野を専門としていた)

編集=木内涼子

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