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2018.12.19

修羅場をくぐり抜けてきた3人が語る、「面白がり力」の身に付け方

左から篠田真貴子氏、村上臣氏、仲山進也氏


村上:やっぱり、修羅場をくぐると達観しますよね。僕も火中の栗を拾い続けました。2000年当時は、誰もモバイルでインターネットができると信じてなかった。社長がきて「携帯でインターネットとかしないよね」と目の前で言われたりもしました。

でも、やるか、やらないかって考えたときに、市場に隙間があるから、ぼくはいけるなと思ってやり始めたわけですよ。やるのはきついなと思いつつ。ただ「火中で燃えている栗は、5年後くらいにホクホクしたおいしい栗になる」という確信がありました。火中の栗を拾うときに「たぶん丸焦げになるな」とか「のちにホクホクおいしい栗か」と、なんとなく匂いでわかる。



篠田:火中の栗を拾わない人が99人いたとして、村上さん1人が拾いにいったわけですよね。「この栗はいい匂いがする」とわかるのは過去の経験からですか?

村上:過去の経験は1番大きいです。ただ、決め手のほとんどは直感ですね。自分が信じきれるか、俺がやりたいか。「他の人がプロジェクトをリードしたら嫉妬してしまう」「俺がやりたかった、俺にやらせろよ」と。これが、決断の基準です。

篠田:わたしの場合は「自分なりの発見ができること」が基準となって、火中の栗を拾いに行ってしまう。「私はこんなに気付いているけど、ほかは誰も気がついてないんだ」と思えるような発見です。

仲山:誰も拾わない栗を拾うと、自由にできますよね。誰も気にしてないし。

村上:結局、成功したらすごいって言われるし、失敗しても誰も気にしない。

篠田:わかります。わたしは運もあるし、面白がって自分だけが気が付く火中の栗を拾って、それがまた運を呼んできた、という実感があります。そして、なんでこの栗を拾うのかという判断は、自らの意志を持ってやってきました。

村上:自分が何にモチベートされるのか、何に面白いと感じるかを知ることが大事だと思います。決断の仕方も、自分は直感に頼るタイプなのか、慎重にロジックを組み立てるタイプなのかを知っておくことが大事ですね。

仲山:ぼくは、大事なのは「浮力」だと思っています。「あの仕事つまんなそうなのに、なんであいつはあんなに楽しそうにやっているんだ」と思われると、だいたい組織の中では「変人」と呼ばれて浮く。逆にいうと、みんな浮いてないわけです。みんな、しがらんでるんですよ。

しがらんでるということは、いい流れがきても流れに乗れない、運ばれないということです。流れに乗って運ばれるためには、浮いている必要がある。そして、浮いている状態で周りを見回すと「似たような人が浮いているな」となります。特にSNSは似たような人と出会いやすくなっている。だからこそ、大事なのは「浮力」と言っています。

篠田:本当に、「面白がり力」は意志なんです。

村上:「楽観主義は意志である」と『幸福論』を書いたフランスの哲学者・アランも言っていますが、まさに「意志の力」だと思います。

篠田:本当にそうだと思います。自分は運がいい、これはラッキーであると思うところから、今日からお試しいただければと思います。ありがとうございました。

文=須崎千春

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