フォーブス ジャパン編集部 エディター




足立:このあたり、私と小泉さんでマーケティングに対する定義づけが違うのかなと思います。私マクドナルドでCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務めていたとき、マーケティングの使命は「マクドナルドに行きたくなる空気」を醸成することだと思っていました。

いまの世の中、さまざまな物が溢れている中、なぜそれを利用するのか、購入するのか。それは突き詰めると「何となく」なんです。明確な理由があって利用したり、購入したりするものは滅多にありません。その「何となく」をつくる、空気感をつくることがマーケティングの究極の目的だと思っています。

全社員の50%が参加している、メルカリのPRチャンネル

琴坂:PR3.0の世界になってくると、広報担当者単独で動くのではなく、さまざまな部署に協力してもらわなければ、PR施策が実行できないような気がします。どうすれば、PR3.0の世界をつくれるのでしょうか? この会場にいる多くの人は広報担当の方かと思います。皆さん、会社に帰っても実行できないと思うんですよね。与えられている権限、予算感が少なすぎるんじゃないか、と。どう思われますか?

小泉:例えば、メルカリは自社ながら面白いなと思っていて、メルカリのスラックのPRチャンネルには600人ぐらいの社員が入っているんです。全社員の半分ぐらい。

メルカリでは、公にできない情報をやり取りしているチャンネル以外は基本的にオープンにしていて、誰でも自由に好きなチャンネルに入れるようにしているんです。その中でもPRのチャンネルは非常に多くの人が入っています。

琴坂:そのチャンネルには自発的に600人が入ってきたんですか?

小泉:そうですね。そこは全く統制をとっていません。チャンネルに入っている全員がPRに興味・関心を持っている、もしくは自分も何かしらでPRにコミットメントしたい、情報を発信したいと思っているんです。

例えば、メルカリでは「mercan(以下、メルカン)」というコンテンツプラットフォームを持っていて、編集チームは10人くらい在籍しています。限られたメンバーで運用しているのですが、いろんな記事を投稿していて、実は1日の投稿数が多すぎて交通整理する日があるくらいです。

普通の会社だとオウンドメディアを立ち上げても、記事の投稿数が増えていかず、PRが仕方なく記事を書くみたいな感じになりがちですが、メルカリでは記事の投稿数がすごく多いんですよね。



琴坂:それはなぜなのでしょうか?

小泉:すごく恵まれてるところもあると思います。メルカリが情報を発信すれば、ある程度メディアが反応し、ソーシャルで拡散されて、友達からポジティブな反応が得られる。それが本人のモチベーションにつながっているので、記事を投稿することのインセンティブが自然と設計されていて、みんなすごくモチベーションが高いんです。

琴坂:成功体験が積み上がっている、と。

小泉:そうですね。メルカンを見ていて面白いのが、経営陣が登場しないところです。僕や創業者の山田はほとんどメルカンに出たことがありません。

それは「この人をフィーチャーしたい」「こういったものを取り上げたい」というメディアのコンセプトを現場のメンバー同士が自立的に考え、どういう見せ方をしたらメルカリで働きたいと思わせられるのかを重視しているからです。

オウンドメディアを立ち上げると、経営層が統制を取りたくなると思うのですが、メルカンでは僕も知らないような年末のイベントなどが動いているくらいです。あまり経営陣はコントロールせず、とにかく「出せ、出せ」って言っています(笑)。

写真=PR Table提供

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