フォーブス ジャパン編集部 エディター

メルカリ 取締役社長兼COO 小泉文明

「メルカリのスラックのPRチャンネルには600人くらいのメンバーが入ってるんですよね」

11月27日、都内で開催されたカンファレンス「PR3.0」。そのLunch Sessionに登壇したメルカリ小泉文明の冒頭の発言に一瞬、会場がざわついた。なんと全社員の50%がPR(Public Relations)に興味・関心を持っているというのだ。

企業と「個」の関係性がどんどんフラットになっているとはいえ、ここまで全社的にPRに取り組めている企業はそこまで多くない。メルカリのように、PRを経営戦略として取り入れ、実行していくにはどうすればいいのだろうか?

「変化する企業は、経営戦略としてのPublic Relationsを再評価するべきだ」と題し、ナイアンティックの足立光、メルカリの小泉文明が登壇し、慶應義塾大学の琴坂将広がモデレーターを務めたセッションの模様をお届けする。


PR1.0、PR2.0とはそもそも何なのか?

琴坂:今回のカンファレンス名が「PR3.0」ということで、そもそもPR1.0、PR2.0とは何なのか。このあたりから話を伺っていきたいと思います。足立さん、いかがでしょうか?

足立:PR1.0、PR2.0とありますが、ここ数十年の間でPRの重要性が高まっていることは間違いようのない事実です。なぜ、重要性が高まっているのか。その背景には3つの理由があると考えています。

1つ目の理由は「広告価値の低下」です。フェイスブックやツイッター、インスタグラムを筆頭にソーシャル全盛の時代、企業の広告は消費者に届きにくくなっていますし、消費者も広告を信じなくなっています。きっと、ここにいる人も企業の広告より、友だちからの評価や感想を信じますよね? 今の時代、明らかに広告ではなく、第三者から聞くほうが効果は高くなっているんです。

2つ目の理由は、企業のブランド力が競争力につながるからです。フィリップ・コトラーの著書『マーケティング3.0』にも書いてあることですが、SNSなどが普及したことで、会社に対するイメージが製品の購入に影響を及ぼすようになっている。そういう時代において、企業がPRに力を入れない理由はないですよね。

そして3つ目は、「商品の売れ方が変わった」ということです。いまの時代、どれだけ技術力が優れていても話題にならなければ売れません。これだけ商品のコモディティ化が進んでいる中で、消費者は何を選ぶか。結局は、世間で話題になっているもの、周りの友だちが使っているものなんです。

それを踏まえると、話題になったものしか売れない時代において、「PRは経営戦略ではない」と言い切るのは変な気がします。「PR3.0」だから、3つの理由を挙げたわけじゃないですよ(笑)。



琴坂:ありがとうございます。小泉さん、どう思いますか?

小泉:僕がミクシィにいた10年以上前のPRは、情報を発信したら終わりでしたね。当時、PRに求められているものはメディアの人たちとリレーションを構築し、いかに情報を発信できるかどうかでしたが、この5〜10年で考え方は変わってきていると思います。

足立さんが仰ったように、これだけソーシャルの力が強まっている時代においては、情報を発信しただけでは意味がありません。情報を受け取った人たちが内容を咀嚼し、いかに自分の言葉でその人たちが発信できるかどうかが大事です。その情報がバイラルしていけば話題にもなりますし、最終的に社員のモチベーション向上にもつながってきます。

例えば、昔は社長がトップダウンで「こっちに進もう」と言えば、みんな同じ方向に進めたと思います。でも今の時代、このやり方は通用しません。企業と個人が完全にフラットな関係になっている時代は、社長の鶴の一声よりも、周りの友だちやパートナーの「御社のプロダクト、御社のサービス使ってますよ」という声の方が効果的です。その一言で社員のモチベーションも高まり、会社へのエンゲージメントも高まると思っています。

その一連の過程を設計し、実践していくのが個人的には「PR2.0」かなと思っています。ただ、僕の中で「PR3.0」が何かはまだ分かっていません。

写真=PR Table提供

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