変わりゆくクリスマススイーツ事情 シュトーレンが生む「長期商戦」

シュトーレン

クリスマスといえば、家の近くにあるお気に入りのケーキ店に予約し、24日にとりにいく……というのが一昔前までは一般的だったが、ここ数年でコンビニケーキやネットでのお取り寄せなど、ケーキの購買先に多くの変化が訪れている。

ここ近年で数が増えているのが、ヨーロッパの伝統菓子「シュトーレン(シュトレン)」。洋酒に漬け込んだレーズンやオレンジピール、ナッツなどがたっぷり入った、菓子パンとケーキの中間のような菓子。

クリスマス前に、少しずつスライスして食べるのが一般的で、クリスマスイブ・クリスマスの2日間だけではなく楽しめることから、需要も増えてきている。

JR東日本の首都圏・ターミナル駅構内にある商業施設「エキュート」全9館では、12月25日までの期間、「Surprise Christmas!」をテーマに、工夫を凝らしたスイーツやデリなどの多数アイテムを各施設で展開。今年は約160種のケーキが登場し、ダロワイヨやブールミッシュ、京橋千疋屋など有名店のケーキが駅の利用時に購入できる。

またエキュートでは今年、全館で約20種のシュトーレンを販売。昔ながらの伝統的なもののほか、黒糖や和三盆等を使用した和テイストのシュトーレンや、「シュトーレンベーグル」「シュトーレンパウンドケーキ」といった派生商品も出てきている。

エキュートでは、シュトーレンをクリスマスケーキ、チキン、オードブルに次ぐ、柱商品とするべく、2年ほど前から力を入れて販売をしている。今後はさまざまなバリエーションを拡充することで、これまでシュトーレンを購入したことのない新たな層を開拓していく方向だ。

クリスマス気分を早くから楽しめるシュトーレンの台頭は、天皇誕生日〜25日の実質3日間が勝負だったクリスマスケーキ商戦から、ハロウィンの翌日〜クリスマスまでの長期商戦へと大きな変換を生み出すことになった。今後も有名パティスリー、ブーランジェリーを始め、スイーツ業界・パン業界で、シュトーレンの国内認知度を上げていくことになるだろう。

文=石澤理香子

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