職場での性差別を逆手に取る方法

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プロポーカープレイヤーのアニー・デュークは、「ワールド・シリーズ・ポーカー:トーナメント・オブ・チャンピオンズ」の第1回大会に唯一の女性として出場した上で優勝を果たし、200万ドル(約2億3000万円)の賞金を勝ち取った。

デュークは過去に米公共ラジオNPRが行ったインタビューで、対戦相手が自分に抱く印象をどのように判断し、それを自分の有利になるように利用しているかについて話している。デュークいわく、もし相手が「私が女性であるという事実に感情的に頼っていたら、(中略)おそらく私との対戦で優れた判断はできない」のだという。

デュークは性差別をゲームの一部として、対戦相手の行動を予測する有効な手段として活用していた。これは感情的にはつらいことだが、デュークはそんな現実を割り切ってこう自問したのだ。「どうすれば、相手の金を得るための最強の戦略を作れるだろう? 結局、それが一番の復讐になるのでは?」と。

例えば、もし対戦相手が「無礼な男性優位主義者」であると思ったなら、きっと女性に独創性があるとは考えないだろうと判断し、首尾よくブラフ(はったり)をかけることができる。

デュークは、女性がジェンダーの既成概念を有利に利用する方法を示している。ポーカー以外の世界では、女性が自分の利益のために交渉を行うと悪い結果につながることが多い。一方で、典型的な女性らしさとされる資質(聞き上手、協調的、共感力のある、など)を利用すれば、ジェンダーの偏見による悪影響を避けられることが、研究から示されている。

これは誰にとっても素晴らしい交渉戦略であるばかりか、こうした資質は「女性はこうあるべき」とされる姿に矛盾していない。うまくやれば、あなたもデューク同様、こうしたステレオタイプ的な女性らしさを戦略的に使いこなすことができる。

以下に、職場で使える3つのテクニックを紹介する。

1. 注意深く聞く

聞き上手であることは交渉において非常に大切な資質だが、自分が不安を感じている時に他人の言葉に集中するには各段の注意力が必要だ。次に言うことを考えたり、良い印象を与えたりすることに集中し過ぎると、相手の話を聞くことを忘れてしまう。

心理学の世界ではこれを「next-in-line effect(次の番効果)」と呼ぶ。他の人が話し終えたら次は自分の番であることが頭にあることで、次に何を言おうか考えるのに集中してしまい、その人の話を聞けなくなるという現象だ。

これは交渉の場面で常に起こることだ。しっかり注意を払うことで、重要な見識を得られたり、言葉にはされていない何かに気づけたりするかもしれない。
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編集=遠藤宗生

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