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2018.12.14 15:10

ソフトバンクも出資のDNA解析企業「10x Genomics」の躍進

Connect world / Shutterstock.com

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米カリフォルニア州プレザントン本拠のDNA解析のスタートアップ「10x Genomics」が、スウェーデンのストックホルム本拠の「Spatial Transcriptomics」を買収し、遺伝子解析分野に新たなイノベーションをもたらそうとしている。買収金額は明かされていない。

10x Genomicsは2012年の設立。同社のチーフエグゼクティブのSerge Saxonovはこの分野の有力企業23andMeの創業時のリサーチ主任だった人物で、チーフサイエンティストのBen Hindsonも、過去にQuantaLifeを創業し、2011年に1億6200万ドル(約183億円)でBio-Radに売却していた。

10x Genomicsの2017年の年間売上は7100万ドルに達し、今年はさらに大きく売上を伸ばしているという。同社は累計で2億8200万ドル(約320億円)の資金をVenrockやFidelity、Meritech Partnersらから調達しており、今年4月に実施した1億2500万ドルの調達ラウンドでは、企業価値が9億2500万ドルとされた。また、2016年3月に実施したシリーズCラウンドにはソフトバンクも参加していた。

「遺伝子の働きやバイオロジーについてはまだ未解明な部分が多い。我々が現状で把握しているのは、ほんのわずかな事実にすぎない。この分野の発展を加速させるための最善の策が、新たなツールを生み出していくことだ」とSaxonovは述べた。

遺伝子に関する研究のほとんどは複数の細胞からDNAを取り出し、わずかな違いを見極めようとするものだ。しかし、10x Genomicsは生物学者らが個々の細胞内にある遺伝子を理解するツールを提供している。このツールで、DNA内にどのような遺伝子が存在しているのか、また、個々の細胞内での遺伝子の働きを知ることができる。

10x Genomicsのプロダクトは、細胞レベルにおける免疫学的な違いを発見するためにも利用できる。SaxonovによるとSpatial Transcriptomicsのテクノロジーは彼らの会社に利益をもたらすと同時に、今後の遺伝子研究の促進に役立つという。

Spatial Transcriptomicのテクノロジーは、スウェーデンの分子生物科学研究のナショナルセンターであるSciLifeLabで生み出されたもので、DNAシークエンシングと顕微鏡を用いて、細胞内での遺伝子活動の変化を観察する。Spatial Transcriptomicのオペレーションは今後もストックホルムで行われる。

一方、10x Genomics はプレザントンの従業員数を4倍に増やし、新たに200名を雇用する計画だという。「あらゆる分野の優れた人材を招き入れる計画だ」とSaxonovは話した。

編集=上田裕資

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