プラスチックごみの問題のルーツは以外に古く、1960年代の後半には既に一部の学者がこの問題を指摘していた。
「プラスチックごみは今や世界中の海に広がり、太陽光から身を守るためにプラスチックを使うウニがいるほどだ。しかし、自然環境に新しい物質が加わると、全体のバランスが崩れる危険がある」とブラジルのペルナンブコ連邦大学のDaniele Mirandaは話す。
プラスチックごみは時間が経過するにつれて細かくなり、5ミリメートル以下のものはマイクロプラスチックと呼ばれる。これを飲み込んでしまった生物が、餓死するケースが度々報じられている。
クジラや魚などの生物が、プラスチックごみを飲み込むと、消化管が詰まったり胃の内壁が傷ついたりするほか、ごみで胃が満たされて食べ物を摂取できなくなり、餓死に至るのだ。また、体が釣り糸などに絡まり、泳げなくなって溺れ死ぬ魚たちもいる。
この問題に関して、世界各地で様々な対策が講じられようとしている。その一例にあげられるのが、海に浮かぶ巨大なフェンスを投入してごみを拾い集める「Ocean Cleanup」のプロジェクトだ。著名投資家のピーター・ティールが支援するこの取り組みは、大きな話題を呼んでいる。
しかし、このような取り組みも根本的な解決にはならないと専門家は指摘する。つまり、人間たちがライフスタイルを変えない限り、プラスチックごみの問題は消え去らないのだ。
マイクロプラスチックを含む石鹸を使わないことや、リサイクルに力を入れるなどの、消費者の意識の向上も必要だ。また、企業がプラスチック製品の生産を見なおすことも重要だ。
「使い捨てのプラスチック製品を生み出す企業に対しては、より厳しい規制が必要だ。メーカーに対する規制を強化することが、この問題の解決の足がかりになる」とペルナンブコ連邦大学のMirandaは話した。