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放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。


スイスでも湯道が広がるかもしれない。あるとき、知り合ったスイス人女性に湯道の話をしたら非常に興味をもってくれて、スイス在住の資産家親子を紹介された。彼らは世界中のVIPがプライベートジェットで訪れるスイスのグシュタードという街に、新しい高級リゾートホテルを建設しようとしている。そのホテルに湯道のコンセプトがふさわしいのではないか、というのだ。

幸い息子さんが日本での留学経験をおもちで、湯道の精神理念についても非常に深く共感してくれた。このホテルのプロジェクトがどこまで進んでいくか、乞うご期待!です。

銭湯の未来を考える

とにかくお風呂が好きな僕は、いまでも仕事先の近くにいい銭湯があると聞いたら、30分間休憩があれば15分だけでも入りに行く。京都の三条通の花見小路を一筋上がった角にある「柳湯」も、好きな銭湯のひとつだ。京都は本来の自分のテリトリーではないけれど、柳湯に行くと、もうひとつの故郷みたいに感じる。

それは、築80年の木造2階という建物、脱いだ服を入れる柳行李という籠、平安神宮の描かれたタイル絵など、タイムスリップしたようなレトロな銭湯であることはもちろんのこと、店主である中谷兄弟の人柄が非常に大きい。顔見知りが過ぎたある日、彼らは僕に「一杯飲む?」と缶ビールを差し出した。そしていつしか営業終了後に男湯の脱衣所に集まって、腰掛けに酒とつまみを並べ、小宴会をするようになった。

中谷兄弟をハブにして地元の人との縁が広がっていったとき、僕はあらためて「銭湯は街のメディアだ」と感じ入った。憩いの場であり、比較的安くストレスを解消できるだけでなく、誰かと誰かをつないだり、何かの価値を生み出したりする。

そんな銭湯を、(以前にも書いたけれど)Airbnbのフロントとして機能させ、旅人に宿泊施設の鍵を渡し、銭湯は大浴場として使ってもらったらすごくいいと思う。銭湯を復活させることによって、街は精気を取り戻すに違いない。不動産会社や都市開発の関係者が「銭湯は街の潤滑油になりうる」ともっと意識してくれたら嬉しいのですが。

もしくはシャンプーやリンス、石鹸など、お風呂に関係する製品を販売している企業が銭湯に広告を兼ねて投資をするのはどうだろうか。

例えば、黄色いプラスチックのケロリン桶。あれが東京オリンピックの前年の1963(昭和38)年、木桶が衛生問題により合成樹脂製の桶に切り替わりつつある時期に、内外薬品の鎮痛薬ケロリンの広告媒体としてつくられた話はあまりにも有名だ。まず人々の役に立つものは何かを考える……それが結果として広告になるほうが、企業価値が高まる。

人々の幸せをつくりだすお風呂は、まだまだ大きな可能性に溢れている。第二、第三のケロリン桶が早く出現して欲しいと願わずにはいられない。

イラストレーション=サイトウユウスケ

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