「安全な水とトイレが子供達を救う」 日本JCの挑戦


水道を整備すれば女の子は学校に行ける

そして、18年、インドでの活動がスタートした。

「SDGsの目標では、水の衛生面にも着目していました。そこで本年度は、小学校のトイレの修繕・建設、さらにはエコ・サニテーション・トイレの設置を行い、衛生教育を行なおうと考えたのです」
 
佐々木氏が視察に訪れた際、人々が飲み水として利用する井戸のすぐ横にピット式トイレがあったことに衝撃を受けたという。ピット式トイレは、排泄物がそのまま地下に浸透していく仕組みであり、その地下水を飲み水にするためには、高度なろ過技術が必要となる。しかし、そんなシステムはなかった。

「排泄物を地下に垂れ流しにせず、エコ・サニテーション・システムを導入することで、肥料として農業で再利用してもらおうと考えました。同時に、インドの女の子たちは、一日に何度も井戸を往復します。そのために、学校に行けない子どもたちがいるのです。そこで、現地の人たちと協力して水道管の整備も行うことにしました。毎年日本からお金を出し続けなければ成立しないようでは持続可能とはいえません。水道料金をしっかり徴収して、修繕費なども含めて住民自らが持続可能な管理を行うように事業を構築しました」

来年は、またバングラデシュで活動を行う予定だという。

「来年からはより、“持続可能”というところに重点を置きます。支援する、されるという関係だけにとどまらず、支援を行う側も何かを得て、お互いに成長できる関係づくりを目指したい。ようやく、第2ステージに入っていくところです」「安全な水」が整った環境で、笑顔を広げていく。彼らの活動は、新たな開発支援の可能性を切り開いていくのだ。

2016
バングラデシュ 雨水貯留タンク設置



2017
カンボジア 魚の養殖場建設と井戸掘削



2018
インド 衛生教育とトイレ設置




池田祥護◎1978年生まれ、新潟県出身。公益社団法人日本青年会議所第67会頭。NSGホールディングス代表取締役社長、新潟総合学院理事長。大彦学園理事長。

文=千吉良美樹 写真=後藤秀二

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