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丹青社代表取締役社長の高橋貴志

明治維新150年を記念して佐賀県で開催されている「肥前さが幕末維新博覧会」が好調だ。今年3月の開幕からの半年間で、来場者数が133万人に到達。目標来場者数100万人は8月時点で突破した。

「文化施設の空間づくりを通して地方創生のお手伝いをしたかった。日本のいいところを外国の方に伝え、地元の人に知ってもらって良さを思い起こしてもらえたらと」

そう言って胸を張るのは、メインパビリオン「幕末維新記念館」の内装を手がけた丹青社代表取締役社長の高橋貴志だ。

文化施設は企画から完成まで数年かかるのが通例だ。しかし、「幕末維新記念館」は築50年以上の体育館を再利用して企画から1年でつくりあげた。短期間で博覧会の空間をつくるのは容易ではないが、空間演出部門のクロスメディアインキュベートセンターなど、同社の各部門が力を結集して完成にこぎつけた。

丹青社が得意としているのは文化施設だけではない。商業施設やオフィス、公共施設など、さまざまな空間づくりをカバーしてきた。それぞれの分野で培ったノウハウは、ときに組織横断的につながって魅力的な空間を演出していく。

組織力の源は何か。そう問いかけると、高橋は用意していた本を取り出した。法隆寺金堂の大修理、薬師寺金堂や西塔復元した宮大工の棟梁・西岡常一の『木に学べ 法隆寺・薬師寺の美』。経営哲学を問われたらいつも見せる愛読書だ。

「まっすぐ伸びた木は柱に向く。一方、曲がった木は柱に向かないが梁に使うと建物が力強くなります。西岡さんは、仕事も同じで、人の特性を知って組み合わせることが大事だと説いた。私も同感。適材適所で組織は強くなる」

高橋が木に学びを得たのは、けっして偶然ではない。東京都港区にある実家は、椅子の木組みをつくる木工所。幼いころから木材が転がっている環境で育った。

進学先は工芸高校。木工を学んで、棚や椅子をつくる日々を過ごした。丹青社に就職して「家具」から「空間」へとフィールドが移っても、木への関心が薄れることはなかった。宮大工が書いた本に手が伸びたのも、ごく自然な成り行きだった。

空間づくりといっても、業務は営業から企画、設計など多岐にわたる。高橋は、施工管理を行う制作一筋。若いころは専門店や百貨店の制作を担当して各地を飛び回った。

文=村上敬 写真=間仲宇

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