国連事務総長が発表した2017年の報告書には次のように書かれている。
「2005年から16年までの間に87カ国で集められたデータによると、15~49歳の女性の19%が近しいパートナーから身体的、または精神的、あるいはその両方における暴力を、調査前12カ月の間に受けたと回答した。最も深刻なケースでは、こうした暴力により死に至ることもある。2012年、世界中で意図的な殺人の犠牲者となった女性のほぼ半数は、近しいパートナーや家族に殺害されていた。男性被害者において、この数はわずか6%だ」
女性に対する暴力にはさまざまなものがある。特にレイプや性的暴力などの暴力は、戦争の代名詞となった。コンゴ東部の国連平和維持軍の元司令官であるパトリック・カマート少将は「武力紛争ではおそらく、兵士であることよりも女性であることの方が危険になった」と主張する。しかし、女性への暴力は戦争や武力紛争に限られたものではない。女性への暴力は、全ての国や地域、コミュニティーにおいてさまざまな程度で見受けられる。
列国議会同盟(IPU)と欧州評議会議員会議(PACE)が行った新調査では、欧州各国の議会でも女性への暴力行為が広く見られることが浮き彫りとなった。同調査結果は次のようなものだ。
・調査に参加した女性議員の85.2%が任期中、精神的暴力を受けたと答えた
・46.9%は殺害やレイプ、殴るとの脅迫を受けた
・58.2%はソーシャルネットワーク上で、性差別的な攻撃の標的にされた
・67.9%は身体的特徴に関連したコメント、または性の偏見に基づいたコメントの標的となっていた
・24.7%は性的暴力を受けた
・14.8%は身体的な暴力を受けた
こうした女性たちが欧州の議会議員であることを考えれば、他の職場の女性たちの状況がよりひどいものだったとしても驚かないだろう。
女性に対する深刻な暴力の一部は、その行為の残虐さから公になることがある。しかし、大部分の犠牲者や被害者は明らかにされない。そのためこうした女性たちは、声を出せずに沈黙の中で痛みに耐えなければならない。