食べる喜びと満足は、身体のどこで感じるのか?

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人間の舌の上では「基本五味」と言われる味を感じることができると言われていますが、その5の味は何かご存知でしょうか?

甘味、酸味、塩味、苦味、うま味。答えはこの5つですが、もしかしたら「辛味」や「渋味」を思い浮かべた人もいるのではないかと思います。

それらは正確には、味ではなく刺激です。普段の生活でこの「辛味」を好む人も多いですが、この辛味は他の味に絡み、刺激から味覚麻痺を起こすので、舌の上で味を感じることを妨げ、過剰摂取を招いてしまったりします。ピリピリするとつい流し込んだり、飲み込んだりしてしまい、咀嚼も減ってしまいます。

5つの味と味覚の役割

さて、その「味」は舌の上にある味蕾という味覚受容体(レセプター)が感じるわけですが、この味蕾は年齢を重ねると減少していきます。現在では高齢者で味覚障害を起こしている人が多いと言われていますが、実は味覚というのは、高齢者に限らず幼少時から、言語を覚えるのと同じくらい大切に育まなくてはいけないものです。



でもそもそもどうして、味覚は存在しているのでしょうか? 基本五味には、それぞれ以下のような役割があります。

・塩味:生命維持に欠かせないミネラルが含まれるかを判断するため
・甘味:食べ物にエネルギーが含まれているかを判断するため
・酸味:食べ物が腐っていないかを判断するため
・苦味:自然の植物に含まれる毒を避けるため
・うま味:情緒を育むため、リラックスし落ち着くため

うま味だけ、生命に直接関係のないように感じるかもしれませんが、出汁の効いたお味噌汁を食べたときの「ホッと」する感覚を思い浮かべていただければその重要性がお分かりかと思います。

では、皆さんは日常で、この味覚を使って生活していますか? 「あまーい」「すっぱーっ」なんて表現はよく使うと思いますが、美味しさを感じるだけでなく、生きるということに対して自分の味覚を働かせて生きている人はどれほどいるでしょうか。

味覚に限りませんが、忙しい現代社会では意外と感覚を使わず、受け入れるだけになりがちになっているのが現状だと思います。
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文=松嶋啓介

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