世界を目指す「社内発イノベーション」事例


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イノベーションや新規事業に着手するも、なかなか成果に導けないと嘆く組織は多い。ではどうすればいいのか?

イノベーティブで協働的な組織のあり方、実践方法を研究する埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授・宇田川元一氏に尋ねた結果、見えてきたのは「既存事業も新規事業も苦労は同じ」という答えだった。


──単刀直入にお伺いします。企業でイノベーションが起きづらい要因はどのあたりにあると思いますか?

クリステンセン教授の著書「イノベーションのジレンマ」の元となる、経営戦略論研究者のバーゲルマンによる「共進化ロックイン」の概念で、彼はこう述べています。

“資源配分が得られないとイノベーションにはつながらない”

彼の研究で分かっているのは、「新規事業を成功に導くには、会社のなかで新規事業への淘汰環境を生き残れるかがすべて」ということ。

新規事業は既存事業よりエビデンスに欠けて、「成功する再現性が低い ≒ 不確実性が高い」と認知されるので、どうしても資源配分を受けることが難しくなります。組織の仕組みとして社内特区としての出島組織を用意したりもしますが、なかなか成果に結びつきにくいのは、既存の合理性の立場から評価するからです。

ハーバード・ビジネス・スクールのタッシュマンとスタンフォード・ビジネス・スクールのオーライリーは、既存の知の活用を行う短期的なものと新たな知の探索を行う長期的なもの双方を持つことが大事と述べています。当然それを理解はしているけれど、実践できないことにこそ日本の企業が抱える問題なのではないかと私は見ています。

つまり、知識と実践の間にはギャップがある。この問題をクリアするには実践を変えていくしかないんですよね。

新規事業を生み出すためにはイントレプレナーが増える必要があり、そのためにはイントレプレナーを社内から輩出するように組織を変えていかないといけません。しかし、日本の企業においては、環境整備の段階からイントレプレナーの仕事なんじゃないかと思います。


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例えば、既存事業をやっている人達からすると、新規事業をなぜやらなければならないか、把握しづらいということをよく認識しておく必要があります。同様に、新しいことをやろうとしている人達が既存事業の文脈を理解できているかというと難しい。

新しいことをやる側も、それを受け取る側も、お互いになぜそう考えるのかよくわからないという意味で、抱えている苦労は同じであることを理解する必要があります。

何かしようとしたときに、相手にとって意味のあるとものとして受け入れられるよう意識しないと、硬直的な組織においてはいつまでたっても平行線のままです。

文=佐藤奈津紀

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