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旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」


広告収入ではなく、読者からの購読料で運営されるコレスポンデント。同社の公表データによると、2017年は450万ドルの収入のうち94%が購読料や本の販売など読者からのもの、残りの6%が講演や記事提供などという内訳であった。

コレスポンデントはクラウドファンディングでの資金調達でローンチした当初から、財務状況を読者に公表している。2017年の経費の内訳でみると、その7割以上が記事製作に関する諸経費に当てられている。具体的には、45%が編集者・ライター報酬、18%がIT経費、9%がビジュアル製作スタッフの報酬だ。


記事「Why The Correspondent will be open about its financials」より

収支の透明性は、読者との信頼関係を構築するためだけでなく、読者が「ジャーナリズムのコスト」について理解するためでもあるという。ジャーナリズムの質と費用を理解することも、読者の正しい投資判断に欠かせない要素。2018年は、コレスポンデントのローンチ後初の黒字化となる見込みだ。

米国を拠点に、本格的なグローバル展開へ

コレスポンデントは、現在ニューヨークを拠点に英語版の展開を進めている。先日、そのローンチ資金として250万ドルの調達を目標にしたクラウドファンディングキャンペーンを開始した。支援者は、自分が自由に設定した金額でこのキャンペーンを応援することで、来年ローンチ予定の英語版コレスポンデントを1年購読することができる。

ニュース速報を意味する「breaking news」に対抗して「Unbreaking news.」と称した彼らのムーブメントに、筆者も参加している。残り4日の12月11日時点で、3万人以上のファウンディング・メンバーから、200万ドル以上を集めているが、目標額には未達だ。

ファウンディング・メンバー以外にも、コレスポンデントはさまざまなアンバサダーからのサポートを得ている。そのうちの一人が、ニューヨーク大学のジャーナリズム学科の教授で、メディア評論家のジェイ・ローゼン(Jay Rosen)。12月6日、彼はコレスポンデントの認知拡大のため、米国のリベラルなエリート層に特に人気がある政治風刺のコメディー番組「ザ・デイリー・ショー」にも出演した。



トランプの動向やツイッターに振り回されるニュース速報が溢れる、いわゆる「トランプ時代」においてのメディア報道に対しての彼の提案は3つ。トランプを「アサインメント・エディター」にさせないこと、つまりアジェンダ設定をさせないこと、すべてのツイートを追わないこと、そして、そもそも根本的誤った情報を入手することが無意味だということを忘れないこと。

コレスポンデントが推進するスロー・ジャーナリズムは、「トランプ時代」にこそ必要とされるメディアかもしれない。このクラウドファンディンキャンペーンが目標額に達しなかったとしても、コレスポンデントのジャーナリズム哲学は、徐々に世界に浸透していくだろう。

連載 : 旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」
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文=MAKI NAKATA

デル
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