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「マクロンの終わりは近い」と落書きされた壁(Photo by Chesnot/Getty Images)

私たちが聞いていた欧州の高い経済成長率の話は、どこに行ったのだろうか?2019年が近づくなか、欧州の政治的危機が世界市場にとって最大のリスクの一つとなっている。

増税への抗議をきっかけとしたデモが続くパリは、文字通り燃えている。市場がこの状況から直ちに学ぶべきことは、欧州の財政緊縮策が終わりに近づいているということだろう。

欧州連合(EU)とドイツが推し進めた高税率と低インフレ率、低成長率を維持する政策は、フランスで困難に直面している。エマニュエル・マクロン仏大統領は、社会主義的な同国の経済を改革し、進むべき道に導くために必要な鋭いビジネスセンスを持つアウトサイダーとして歓迎された。だが、その支持率は現在、20%台にまで下落している。

AP通信のインタビューに応えたあるデモ参加者は、「われわれの購買力は、日ごとに大幅に低下している。それなのに、増税、増税、さらに増税だ」と話した。

「国は私たちに生活を切り詰めることを要求する一方で、税金を使ってあらゆる水準を超えた暮らしをしている」

仏政府は12月5日、来年からの実施を予定していた燃料税の引き上げを断念するという戦略的な決断を下した。だが、その決定は同国の財政再建につながるものではない。断念した分の税収を、政府はどこから得るつもりだろうか。欧州の主要国の一つである同国は、どうやって経済を成長させていくのだろうか?

燃料税の引き上げに代わって検討されているのは、政府支出の削減と富裕税の復活だ。富裕税の復活は、ロスチャイルド系の投資銀行で働いた経験を持つ大統領の「マクロニズム」を強く否定するものとなるだろう。また、英国のEUからの離脱をめぐる混乱が続く中、より多くの企業や投資を誘致したいマクロンの方針に反するものにもなる。

マクロンの「改革」計画は、崩壊し始めているようだ。大統領の政治的な力の衰退は、阻止できないものになるだろう。フランス国民の税負担は、西欧の国の中で最も大きい。

一つの問題への抗議として始まったジレ・ジョーヌ(安全のために車内に常備することが義務付けられている)をシンボルとする「黄色いべスト運動」は少なくとも今のところ、実質的にはマクロンと欧州の新自由主義に対する数多くの不満に基づいた「レジスタンス」に形を変えている。

デモ隊の要求事項は現在、数十件に上っている。その項目の多さは、運動に参加している人たちの多様性を反映している。ただ、経済的に圧迫され、自らの声が無視されてきたという点で、彼らの考えは一致している。

仏紙ル・モンドは4日、黄色いベストの広報担当者らが明らかにした42の要求事項を掲載した。そこには左派と右派双方の要求が含まれている。マクロンの緊縮政策を支持するものは、一つも入っていない。

編集=木内涼子

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