Fireflyのスマートスクリーンは広告を表示するだけでなく、大気汚染や道路の渋滞状況などのデータを取得し、都市の環境を改善する役割も果たすことになる。
「ドライバーたちに新たな収入源をもたらすと同時に、都市のスマート化に貢献したい」と同社の共同創業者でCEOのKaan Gunayは述べた。
Fireflyはこれまでステルスモードでテストを繰り返してきたが、NFXやPelion Ventures、Decent Capital、Jeffrey Housenboldらからシード資金を獲得し、正式に事業を立ち上げた。調達した資金で現在、サンフランシスコ本社に勤務する30名の従業員を60名に増やし、デジタルスクリーンの増産体制を強化する。
出資元のNFXのJames Currierは、独自のハードウェアと広告ネットワークの2つを同時に運営するFireflyの事業モデルが、非常にユニークであると評価している。
Fireflyのデジタルスクリーンは、地域ごとにターゲティングした広告が配信可能で、学校の周辺でアルコールの広告を表示したりはしない。また、広告の10%をNPO団体などの公益性の高い広告にするという。さらに、地元のコーヒーショップなど、地域に根ざした小規模なビジネスを支援することも目標としている。
調査企業Zenithによると、屋外広告市場の売上は2018年に3%の成長が見込まれるという。Fireflyのデジタルスクリーンは初期費用無料で導入可能だが、週に最低40時間勤務するフルタイムのドライバーが対象になる。Gunayによると、ドライバーは平均で月に300ドルを稼げるという。
Fireflyは現在、カリフォルニア州のみで展開中だが、2019年の早期にニューヨークへの進出を計画中だ。同社は現状では、ライドシェア企業側と契約を結んでおらず、デジタルスクリーンの設置はドライバーの判断に任せている状態だという。
ただし、ライドシェア企業側はFireflyの試みをネガティブに受け取る可能性もある。リフトの公式ページには「車内で外部企業の広告を表示する行為は、乗客を不快にさせる可能性がある。当社としてはドライバー自身の判断に任せるが、広告の表示が顧客からの評価の低下や、チップの額に影響する可能性を考慮すべきだ」との記載もある。
また、ウーバーはライドシェアの車両内の「置き菓子」サービスを提供する企業のCargoと、今年7月に独占契約を締結している。この件に関する、ウーバーからのコメントは得られなかった。
Fireflyの試みはまだ始まったばかりだが、同社のセンサーは大気汚染や気温だけでなく、路面状況を把握する加速度計も備えており、道路の補修を担当する行政当局との連携も視野に入れている。
「将来的に、都市部の交通は無料化の方向へ進んでいく。それを支える手段の一つが広告になると考えている」とGunayは話した。