知られざる「AI大国」カナダ政府が掲げる4つの目標

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現代のAI(人工知能)に欠かせないディープラーニングの礎を築いたのは、カナダにあるトロント大学とモントリオール大学だ。ジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)やヨシュア・ベンジオ(Yoshua Bengio)、現在はニューヨーク大学教授のヤン・ルカン(Yann Lecun)らが中核的な役割を担った。

今や、カナダは世界最大のAIエコシステムを築き、グーグルやフェイスブック、ウーバーなどの大手テック企業は、カナダに研究開発拠点を構え現地の大学と共同研究を行っている。カナダ政府はAI分野におけるリードを確固たるものにするため、「カナダ先端研究機構(CIFAR、Canadian Institute For Advanced Research)」を通じ、AIに関する様々な研究に支援を行っている。

CIFARが推進するAI戦略「Pan-Canadian Artificial Intelligence Strategy」には、1億2500万カナダドル(約105億円)の予算が計上されている。CIFARは最近、この戦略の柱となる「AI Chairs」プログラムに29名の世界的なAI研究者を指名した。

AI Chairsの狙いは、エドモントンにある「アルバータ・マシン・インテリジェンス研究所(AMii)」やモントリオールにある「モントリオール学習アルゴリズム研究所(Mila)」、トロントにある「ベクター研究所(Vector Institute)」に在籍する50名以上の優れたAI研究者を確保することだ。

カナダのAI推進戦略が掲げる目標は、以下の4つだ。

1. カナダに優れたAI研究者や大学院生を増やすこと。
2. エドモントンとモントリオール、トロントにある3つの主要なAI研究所の連携を強化し、卓越した科学的成果を生み出すこと。
3. AI発展に向けて、経済、倫理、政策、規制の分野でソート・リーダーシップ(ソートは理念の意味)を構築すること。
4. カナダ国内でAI研究に携わるコミュニティを支援すること。
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編集=上田裕資

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