経済・社会

2018.12.11 11:30

毎年起きるカリフォルニアの山火事、なぜ備えができないのか?

カリフォルニア州・マリブ(Photo by David McNew/Getty Images)


世界に出荷するソノマワインで有名なソノマ地区になると、山火事監視用のセキュリティカメラが設置されているが、通常、そこまでの出費はできない。今回の現場近隣地区では、美観のために地上の電線を地下に埋めようとして予算不足で見送りになっていた事案を、電気のスパークが火事の原因になりうるとの観点から再浮上させたのがやっとのところだ。
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また多くの家屋は、最新の耐火仕様になっておらず、火がつくとあっという間に燃えるというが、だからと言って「古い家は建て替えなさい」というわけにもいかない。

今回はたまたまキャンプファイヤーが原因ではとなっているが、通常、原因はわからないことが多い。しかし、地球温暖化でカリフォルニアの平均気温はこの1世紀で摂氏約1.5度上がり、干ばつが長く、深刻な乾燥を起こしていることが基本的な問題だと米国森林局は話している。つまり、進行する温暖化に対して解決策を講じない限り、この悲惨な出来事は今後も毎年続くということだ。

さらに気の毒なことに、山が燃えて樹木がなくなると、次に大雨が降った時には土砂崩れを警戒せねばならない。山火事と地すべりはセットになっていて、今年もすでに山火事後の地すべりで15人が死んでいる。
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マスクが嫌いなアメリカ人でも

翻って、サンフランシスコのダウンタウンは、前述のように空気がひどく汚染され、筆者の同行者も体調を崩した。しかし、もともとアメリカにはマスクをする習慣がない。花粉アレルギーも、強い薬で抑え込むのが一般的だ。マスクに対しては、奇怪だとか、周りに対して感染症をアピールしているなどとの偏見がある。偏見も、それが大半を占めれば偏見のほうが自然なのでたちが悪い。

ネットを見ると、いかにアメリカ人が日本のマスクの習慣を不思議に思っているかとか、マスクの効用に科学的根拠がないと思っているかというコラムが溢れている。しかし今度ばかりは、流行の先端を気取るサンフランシスコでも、ホームセンターで売っている、建築作業用の、幅広の円錐型プラスチックカップを口に当てる「マスク」をしている人を多く見かけた。

日本からの同行者も、どこでも日本のようなマスクを売っていないこの国にカルチャーショックを覚え、筆者は、とうとうマスクも米国で市民権を得ることになるか……と、災害の大きさにショックを覚えた。被災者のご冥福を心から祈りたい。

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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