2017年5月7日に66.1%の得票率でフランスの大統領に選出されたエマニュエル・マクロンは、同国の救済者ではなく典型的な政治家だった。片方の目では常に、自分の支持率の変化を見ている。
国民に緊縮政策の痛みをより強く感じさせる典型的な財政保守派の政治家であることが分かると、新しい指導者を包んでいた輝かしい光はあっという間に消え失せた。パリ・マッチ誌とシュド・ラジオの委託でIfop・フィデュシアルが11月最終週の後半に実施した世論調査によると、大統領の支持率は23%に低下している。
エドゥアール・フィリップ首相は12月4日、2019年1月1日に予定していた燃料税の引き上げを6カ月延期すると発表。天然ガスと電気料金の値上げは棚上げとした。さらにその後、政府は来年中の燃料税の引き上げを断念した。つまり、政策がポピュリズムの犠牲になったということだ。
当然の行動
抗議運動を始めることは、怒れるフランス国民にとっては当然の行動だった。燃料税の引き上げに反対する人たちが「黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)」を着てデモを始めたのは、11月17日だ。その後、運動は反マクロンの大きなうねりに後押しされたように、規模を拡大していった。
これは、非常に残念なことだ。マクロンは労働市場や教育制度、国営鉄道などの大幅な改革を断行した。これらはフランスが必要としていたものだ。今後、議論の分かれる年金や失業保険制度の改革を進めることができるのか、その見通しには疑問が投げかけられている。