「アヴァンギャルド」を体現するフレンチ・ラグジュアリー──DS Automobiles DS 7 CROSSBACK

「DS」の成り立ちを説明するのに欠かせないひとつの伝説を紹介しよう。

カー・エンスージアストであれば「DS」の名を聞いた誰もが1955年にパリ・サロンで登場した不朽の名車シトロエン「DS」を思い浮かべるものだ。「DS」は近未来を予見させる宇宙船のようなフォルムに加え、スフィアと呼ばれる球形の油圧式サスペンションによって上質な乗り心地を実現するなど、非常に革新的なラグジュアリー・カーだった。
 
その“DS”の名を冠したブランド「DSAutomobiles」が、シトロエンから独立して新たなスタートを切ったのは2014年のことだ。翌年には「DS」の発表から60年を記念したコンセプトカー「スピリット・オブ・アヴァンギャルド」と共に「DS」ブランドのロゴを発表。

その後、わずか3年でフレンチ・ラグジュアリー・ブランドとしての地位を確立しつつあることには驚きを隠せない。しかし、かつての母体シトロエンからしてイノベーションに満ち、かつアヴァンギャルドな自動車メーカーであっただけに、その精神を受け継ぐことで、従来のフランス車における既成概念を打ち破ることができたのだろう。
 
実際、フラッグシップSUVである「DS 7CROSSBACK」を街に連れ出してみると、ドイツ製ラグジュアリー・カーとは異なる、DS独自の価値観が伝わってくる。立体的にデザインされたグリルの左右にLEDヘッドランプの煌めきが前衛的な表情を与えたり、コクピット周りのディテールにまるで機械式時計のような装飾が施されるなど、ドイツ製の高級車ブランドの室内とは一線を画すデザインを纏う。
 
新開発のプラットフォームに新開発のターボ付き1.6リッター直4エンジンを搭載することにより、滑らかな乗り心地と頼もしい走りっぷりを手に入れた。加えて、コネクテッド・パイロットなる高度ドライバー支援システムや、スマホのワイヤレスチャージャーといった最新装備にも余念がない。
 
既成概念に囚われずに、新たな手法を開拓する。ラグジュアリー・カーにおけるアヴァンギャルドへの挑戦こそが、DSというブランドの目指す方向なのだ。

DS Automobiles DS 7 CROSSBACK

DATA
駆動形式:FWD
全 長:4590mm
全 幅:1895mm
全 高:1635mm
最高出力:165kW(225ps)/5500rpm
価 格:5,420,000円(車両本体価格・税込み)
問い合わせ:DS コール 0120-92-6813

今年10月のパリモーターショーで披露されたブランド初のピュアEVを設定する「DS 3 CROSSBACK」
2025年以降、DSブランドをすべて電動化する。そんな衝撃的なニュースが発表されたのは今年4月のことだ。

すでに「DS 7 CROSSBACK」にはプラグイン・ハイブリッドが設定されているが、今回、パリ・モーターショーではDSブランド初となるピュアEVを設定する「DS 3 CROSSBACK」が披露された。

コンパクトなボディではあるが、旗艦SUVの「DS 7 CROSSBACK」と共通するフロントマスクを持ち、細部まで作り込まれた内装や最新の高度ドライバー支援機能を備えるなど、上級モデルに匹敵する装備を搭載。最新のコネクティビディ「MyDSアプリ」はスマホがメインキー代わりになる機能で、遠隔でカギを貸すこともできる。

もっともDSブランドらしいのが、5種類の個性的な仕様に加えて、10色のボディカラー、3色のルーフカラー、10種ものホイールから幅広い選択ができることだ。技術とデザインの双方で“DSらしさ”を主張する。

photograph by Tsukuru Asada (secession) text by Yumi Kawabata | edit by Tsuzumi Aoyama special thanks to studio ogawasanchi

この記事は 「Forbes JAPAN 新しい現実」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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