世界を駆け抜けた「謎だらけの地震波」 20分以上も継続

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11月11日、時速1万4500キロの地震波が地球を駆け巡った。その地震波はほとんど誰にも気づかれなかったが、偶然気づいた1人の地震学者のツイッターがきっかけで、ネット上で原因究明が行われている。

地震波が発生したのは、マダガスカルとモザンビークの間にあるフランスのマヨット島の沖合24キロの地点だ。ニュージーランドやチリ、ハワイ、そしてカナダにまで到達したこの波は、1万7700キロも離れた場所の地震計でも観測され、20分以上も持続した。

マヨットからイギリスに到達するのにわずか40分、ハワイに到達するのには75分しかかからなかったという。

だがこの地震波を感じたという報告はない。地球全体を駆け巡るほどの地震波が誰にも気づかれないということはあるのだろうか。原因は地震なのか、火山の噴火なのか、それとも隕石の衝突なのだろうか。

この地震波を最初に公にしたのは@matarikipaxというツイッターアカウントで、すぐに学者の間で拡散し、やりとりが始まった。

地震学者によると、今回の波は不自然なほど単調な低周波だったという。地震波と聞くと一番に思い浮かぶのが地震によるものだが、地震の場合は異なる周波数の高速な振動が放出される。しかし、マヨット島でこの日に地震は観測されていない。

マヨット周辺で最近観測された最も大きな地震は、5月に起きたマグニチュード5.8のもで、ここ数カ月の間、地震活動は落ち着いていた。地震波は地震とは無関係のように思えるため、学者たちは他の可能性を考えている。

今回観測されたような低周波は、地表や地中が大きく動いたときに発生することが多い。だが、ハイドロフォン(聴音装置)が検知していないため海底で地滑りが起きた可能性は低く、周辺に氷河がないため氷河の崩壊による揺れでもない。

今回の地震波の原因として可能性が高いのは、地中のマグマだまりが崩壊したというシナリオだ。地下深くで、突然マグマが動いた場合、マグマだまりの崩壊で低周波が放出される可能性がある。

今後、マヨット周辺の調査によって、地震波の原因が特定されるかもしれない。奇妙な地震波がいかにして発生したかを解明する、学者たちの試みが続いている。

編集=上田裕資

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