「人々が農作物を消費する場所で生産することで、サプライチェーンを0にし、現状の問題をすべて解決しようと考え、はじめたのがインファームです」
サプライチェーンが0のインファームは、従来の農業に比べて水を95%、肥料を75%、化学農薬を100%削減。さらに、運搬による二酸化炭素を削減でき、環境はもちろん、コストや人員など、従来の農業システムのあらゆる面にポジティブなインパクトが期待できます。
ヴァーティカルファーミングというシステム自体は決して珍しくないながら、注目すべきは、モジュラー型、月額制でシステム管理をすべて請け負ってくれるというユーザビリティ溢れるスタイル。インファームを導入したユーザーがすべきことは、提供される栽培セットを室内の空きスペースに置き、カートリッジをたまに取り替えて肥料の補充をするくらいです。
他は、専門スタッフがリモート管理してくれるため、ほとんど手間をかけることなく、半永久的に毎日新鮮な農作物を収穫することができます。
味の可能性を最大限まで引き出すシステム
生命力溢れるインファームの野菜を使用した、ミシュラン2つ星レストラン「Tim Raue」のメニュー
テクノロジーによって育てられた農作物において、やはり気になるのはその味ですが、インファームで育てた農作物は、なんと、ベルリンのミシュラン2つ星レストラン「Tim Raue(ティム・ラウエ)」のメニューにも採用されています。
「とても嬉しいことに、Tim Raueは、インファームで作るハーブは今まで食べたハーブの中で最も風味が豊かだと言ってくれます。例えば、ドイツ人のお客さまは従来のコリアンダーの味を好まないのですが、甘みと柑橘系の香りが楽しめるインファームのコリアンダー・コンペッティを提供したところ、満足いただけたそうです」と、オスナット氏。
気温、湿度、気候条件など細かく分析された環境設定に基づき、24時間体制で栽培を遠隔管理するインファームでは、農作物をそれぞれ最高に美味しい状態に育てることができます。
味を最高の状態にできると聞けば、栄養価も同様だろうと想像がつきますが、インファームの農作物は、やはりその多くが従来の農法で育てた農作物と比べ、栄養価が優れているという結果が出ています。
例えばハーブでは、従来の農法と比較して樹液中のリンとカリウムの濃度が高くなる傾向にあるのだとか。輸送や冷蔵というサプライチェーンが一切発生せず、それらの工程で失われる栄養素を失わずに済むことも影響しているでしょう。
コスト面も優れています。創設当初から手頃に高品質の農作物を提供することに心を砕いてきたというインファームだけあり、インファームで育てられた農作物は現在、ヨーロッパのスーパーマーケットで、同種の農作物とほぼ同価格、有機認証品よりも手頃に手に入れることが可能。一般的に高価格な有機認証品を手にすることが難しかった方たちに、これは嬉しいことでしょう。