ミシュラン星レストランも採用 土で育てない野菜の実力


環境に優しく、味も栄養価も優れている。農薬も不使用で鮮度も抜群、コストも良心的。こう聞くと、従来の農業よりも圧倒的にメリットが多いと感じますが、このシステムによって、従来の農業従事者の居場所が奪われるのではないかということが気にかかります。

それについてオスナット氏は、インファームこそが、明日の農業を救うと言います。


NTERSECT BY LEXUS – TOKYO でのHEAPS Magazine来日イベントにて、参加者からの質問に笑顔で答えるオスナット氏

「私たちはインファームの導入によって、農業従事者の新しい未来を作ることができると考えています。なぜなら、このシステムはローカルコミュニティを再興できる、本当の地産地消であるからです。

世界中の各都市に、魅力的なローカル品種が存在しています。しかし、今の農業構造ではそもそもの流通が少なく、誰もその魅力に気づいていません。このままでは忘れ去られ、失われていってしまいます。私たちのシステムを利用すれば、ローカル品種を世界中どんな場所でも育てることが可能になります。世界中にローカル品種の魅力を伝えることで、各都市の農業従事者の利益・活性化に繋がるでしょう。

また、このシステムは気候や土壌の影響を受けないので、今まで農業を営むことができなかった荒れた気候や土壌の地域でも、農業を営むことができるようになります」

信じてもらうことこそ、最大のチャレンジ

さらに、インファームでは、次世代の農業従事者を育てる活動も積極的に行っています。現在、教育現場の学習プログラムにインファームを組み込むことで、農業を知らない若い世代に、農業の魅力を伝えていくことを計画しているのだとか。

「現状の農業構造における、巨大なサプライチェーン、価格を決定づける市場、予測できない気候の最大の犠牲者は、農業従事者たちです。私たちのビジネスモデルは、農業を再び希望のある産業にします。インファームはこの業界にとってある種、破壊的なシステムであることは十分理解しています。それでも、未来を作るために必要なものであると信じてもらいたい。それこそが、私たちの最大のチャレンジです」
 
人間も生態系の一部という概念で捉えれば、自然と対峙しながら育まれた農作物が人々の身体にとって良い物であることは毅然とした事実。しかしながら、その生態系のベースとなる地球環境の汚染、人口増加をはじめとするマクロな社会問題、現在の農業が抱えるさまざまな課題などを多角的に捉えて考察すれば、インファームのチャレンジの有用性は明らかでしょう。

変化を恐れ、過去の感傷にとらわれることなく、次の世代に確実な未来を残すための農業を、かたち作っていくべきタイミングが今やってきています。

連載 : クリエイティブなライフスタイルの「種」
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文=佐藤祥子・国府田淳

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