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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

ワシントン国立大聖堂での国葬に出席した、ビル・クリントンら(Photo by Matt McClain/The Washington Post via Getty Images)

12月5日、アメリカ合衆国第41代大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ氏(父ブッシュ)の国葬が、無事に執り行われた。

元大統領の葬儀というと、メディアは必ず大きく採り上げてきたが、今回はこれまでとはやや様相が違った。それは、共和党の大統領である父ブッシュと民主党の大統領であるビル・クリントンの関係が、繰り返し報道されたからだ。

アメリカの歴史上で党派を超えてこれ以上の「友情」はなかったと、コメンテーターが声高に喋るなか、それを証言する生前の父ブッシュ本人の映像が流れる。

逝去前の最近のインタビューでは、ジョージ・W・ブッシュ(第43代大統領、子ブッシュ)の娘(ジャーナリスト)の質問に答えて、カメラの前で、はっきり父ブッシュは「I like him」と、クリントン元大統領のことを2度繰り返して言った。同様、クリントンも父ブッシュのことを、最大級の形容詞で褒めちぎる。なぜ、このような関係になったのか?

ベッドルームがひとつの特別機のなかで

トランプ大統領のオバマ政権への強烈な批判、あるいは選挙中のヒラリー・クリントン候補への攻撃のなかに、徹底的に含まれていた激しいクリントン批判を思い起こせば、党派を超えたこのような友情はあり得ないとも言える。しかも、1992年の大統領選挙で父ブッシュはまさにクリントンと戦って負けた経緯もある。

2人は、その大統領選挙後も、共和党と民主党のそれぞれのキースピーカーとして遊説の主役を担った。クリントンが子ブッシュ大統領候補をアル・ゴア候補のために厳しく批判すると、父ブッシュ夫人のバーバラは、「クリントンとは口も利いたこともないし利きたいと思ったこともない」とテレビでばっさりやる。言うまでもなく犬猿の仲だった。

その父ブッシュとクリントンが、このようにリスペクトする関係となった理由は、実は、この2人を、2005年に邂逅(かいこう)させた人物がいたからだ。それは、なんと子ブッシュ元大統領だった。

それは、ニアミスとかそんな生ぬるいものではなかった。当時、大統領であった子ブッシュの意を受け、スマトラ津波災害救援の特使として、特別機に2人で一緒に乗ったのである。ベッドルームひとつと執務室しかない密室のなかで、長年ライバル関係にあったこの2人はどのように長い時間を過ごしたのか。

文=長野慶太

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