採用担当者や人事の願いは、シンプルだが難しい。
しかし、人材の流動化が加速しており、その願いの実現はどんどん難しくなってきている。売り手市場になり、優秀な人材の囲い込みに悪戦苦闘している企業は数知れず…。一度入社しても、すぐに転職してしまうこともしばしば。
キャリアプランを自由に描きやすくなった時代の中で、企業はどんな対策をとっているのか。PR Tableが主催するカンファレンス「PR3.0」でこの問題について人事や採用に関わる3人が登壇した。
サイバーエージェント取締役人事統括の曽山哲人氏、リンクトイン(LinkedIn)カントリーマネージャーの村上臣氏、そして『転職の思考法』の著者でワンキャリア最高戦略責任者の北野唯我氏は、それぞれの「戦い方」について語った。
退職率2、30%から9~10%に下げたサイバーエージェントの「戦い方」
経営陣の意欲的なSNS活用
社長をはじめとして、経営陣がブログを書いて意欲的にソーシャルメディアにあげている。これによって、会社のブランディング効果につながり、結果採用にもいい影響が出る。特にブログは学生の親が見ている場合もある。子どもが入社する会社を気にする親にとって、どんな人が会社を動かしているのか把握するのにわかりやすい。
会社説明会はしない
去年から会社説明会をやめた。その代わりに、社員が自分の声で仕事を伝える動画をあげるようにした。それらの動画は全て、公式ページ内の「サイブラリー」にまとめられている。経営陣がかっこよく語るだけでなく、一社員の生の声が聞けるので、学生に届きやすい。
登録者数5億人を超えるビジネス特化型SNSサービス、リンクトインの「戦い方」
社内の情報を「さらけ出す」
リンクトインでは全世界で1万人以上いる社員に対して、#LindedInLife をつけて、就業時間の楽しいひと時をソーシャルでアップするように伝えている。従業員の顔や環境をオープンにすることで会社のエンゲージメントを高くするだけでなく、幅広く広報ができる。
実際に、リンクトインを志望する人の半分以上がそのカルチャーに惹かれている。企業のカルチャーに向かない人は、向いていないのでその時点で辞退してもらえる。
採用のためにも、企業側は社員の「さらけ出し力」を大事にしている。
グローバルミッションの浸透、マネージャー教育の徹底
入社1日目は、会社のヴィジョン、ミッション、カルチャー、バリューの話がほとんどだった。現場への浸透施策、マネージャー教育の徹底をしていたことで、フレームワークがしっかりしていることが伝わった。
『転職の思考法』著者の「戦い方」
お土産を持って帰ってもらう
この会社が素晴らしいという一方的な説明会は、古くなっている。説明会にきてもらった人のためになるような「お土産」を持って帰ってもらうことが大切だ。
コンテンツについていえば、従業員の1日のスケジュールを見せることはあまり意味がない。それよりも、キャリアの価値判断に悩む人が多いから、そもそもキャリアとは?というようなためになる情報の発信が重要。
会社の「体臭」をわかるようにする
説明を聞いたり、入社したりする前からその会社で働く人がどんな人でどんな雰囲気なのかわかることが重要。そのことを「体臭」と言っている。「体臭」がわかる会社は、その「体臭」に合う人を集めることができるし、人におすすめしやすくなる。「俺は向いていないけど、オススメしたい」と言ってもらえたらいい。