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もう1つの懸念は、マクロン政権の凋落と時を同じくしてメルケル政権の瓦解も始まっていることである。今月にもメルケル独首相は約18年率いたキリスト教民主同盟の党首を降りることになる。



マクロン大統領とメルケル首相の総称として「ダブルM」、「メルクロン」といった造語まで生まれ、EUの政治安定を材料にユーロが買われていたのが2017年5~6月という時期だった。実際、当時の米国や英国に比べれば「EUの政治安定」は事実であったが、もはや景色は一変した。

この6月には、両首脳がユーロ圏永年の課題であった共通予算創設で合意し、2021年までに運用を開始するとの提案を打ち上げたばかりであった。しかし、詳細を詰め、全加盟国の合意を取り付けるより前に両政権が倒れる可能性の方がどうやら高そうである。

仮に、フランスで極右候補が政権を奪取し、ドイツでも内向きな政権運営が行われるようになれば、域内の共通予算や共通財務省といった構想は政治日程から半永久的に葬り去られることになるだろう。マクロン政権とメルケル政権の失脚が概ね同時に訪れそうなことはEUの未来にとって不幸としか言いようがない。

パリ暴動は当然、「現在」の混乱として注目に値する出来事である。しかしこれはフランス、EUそして国際金融市場の「未来」にとっても大きなリスクとなる可能性を秘めている。とりわけ、これに懲りたフランス国民が、次のリーダーにどのような人物を選ぼうとするのか。不安は尽きない。

文=唐鎌大輔 写真=Getty Images

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