──ここから手がけられている「ヒカカク!」について伺います。初期にスマートフォン買取に特化した理由は?
麻生 : 多少悩みましたが、数ある買取商品の中でスマートフォンは以下の条件を満たしていたことが注力の決め手でした。
・みんなが持っている(=規模が見込める)
・高価格(=中古売買のニーズがある)
・型番がある(=何の商品か、特定しやすい)
2014年創業当時は「MVNO」「格安スマホ」という言葉が出始めた時期で、俯瞰的に見てもスマートフォンを起点とした買取ビジネスが伸びると考えました。
社名であるジラフの由来も首の長いキリンのように視座を高く持って、リユース業界の未来を予想し、事業展開していきたいという想いが込められています。
「攻め」に集中できるのは、「守り」を任せられる人がいるから
──その創業から1年後ぐらいに、現スママ事業責任者の柴田さんが入社されましたね。
柴田 : 私は新卒でグリーに入社し、投資管理業務を担当していましたが、入社して1年経った頃から、「自分で事業をやりたいな」と思うようになりました。そんな頃、知り合いのVCの方の紹介で麻生と出会い、色々と話を聞いているうちに麻生にも事業にも興味を持ち、その日のうちにジラフへの入社を決めました。
ベンチャー社長と会ったのは1人目でしたが、その時点で「ヒカカク!」は既に月間20万人のユーザーを抱えており、自分がやれることも多そうだったので、即決でした。 比較サイトの会社なのに、入社先は比較せずに済みましたね(笑)。
──柴田さんが参画された2015年は雑司が谷で資金調達用の資料やスマートフォン型番の名寄せを行っていた時期ですね。
柴田 : 元々管理業務をやっていたこともあって契約書の作成は土地勘があったものの、登記、調達資料作成から、営業での契約書作成まで、とにかく走り続けていた時期です。
麻生 : ちょうど会社が伸びてきて、登記や契約書類が増えてきた時期で、パートナーがいないと回らないと感じていた時期でした。その中でどんな仕事もやろうとする献身さを持ち合わせていて、かつアーリーフェーズでそこまで給料を出せない中でも対応してくれる人というのは母数が少ないので、柴田が入社してくれたのは運がよかったと思います。
──当初は営業も麻生さん・柴田さんで奔走したと伺いました。
麻生 : 実は、そもそもどうやって営業をやるのか、契約書を作るのか、お客さんに入金してもらうのか、経験したことが無い中でのスタートでした。
まずは営業マンを採用して、イロハを教えてもらいながら、徐々に営業を始めていくという順序でやっていました。実際に営業してみると、買取業者であるお客さん自体がネットに距離を感じている人が多く、最初は送客の成果を認識してもらわないと契約継続してもらえませんでした。
そこで月間課金という最初の方針を切り替えて、成果報酬を主力として売り込み始めました。おかげで徐々にサービスの効果を実感頂けるようになって、今に至るまでの継続契約に結び付いていると思います。
──その結果として、徐々に人が増えて「労務設計もやらねば」となるわけですね。
柴田 : そうですね、急に人が増えて労務周りをどうするかというのもゼロからやりました。最初は手探り状態でやり始めたわけですが、合理的に考えたらこうあるべきだよねというところから逆算して設計していきました。法律は合理的に作られてるので、まず条文を理解しながら専門家に相談しつつ、会社・メンバーにとって一番いいやり方は何だろうかを考えたのが今のジラフに繋がっていると思います。
麻生 : 柴田が仕事を選り好みせずに、会社全体の半分近くの仕事をやってくれたというのは大変助かったなと。彼が実務的なことをこなしてくれることで、空いた時間を採用や営業などの「攻め」に使えるようになって、会社が伸びるようになったなと感じています。
連載 : 起業家たちの「頭の中」
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