「巨人」は脅威か?
デル・ベッキオはまた、ファッション業界の誰もがその存在を意識しながら、あまり話題にしたがらないアマゾン・ドット・コムについても質問に答えた。
同社はビジネスに関して、現在アマゾンと協議中だ。CEOによれば、アマゾンのプラットフォームを通じた販売について同社から「打診があった」という。
「社内でかなり話し合っている。決断は戦略的なものとなる…(消費者として)私自身も何でもアマゾンで購入する。多くの消費者が利用している。そのことに抵抗するつもりはない」
対中貿易戦争の影響は?
同業の各社と同様、米国の中国に対する制裁関税の引き上げについては、「様子を見ている」ところだ。ただ、デル・ベッキオによると、ブルックス ブラザーズが生産において中国に依存する割合は、同業他社の多くに比べて低い。詳細は明らかにしなかったが、例えばシャツはマレーシアで生産しているという。
「メイド・イン・アメリカ」で知られる同社は、米国内の3カ所に工場を所有しており、スーツの95%をマサチューセッツ州で、ネクタイの全てをニューヨークで生産する。実際には国産の量を増やしたい考えだが、「適任と言える人材が不足しているため、実現は簡単ではない」。
カギを握るミレニアル層
ブルックス ブラザーズは2013年、「レッド フリース」コレクションを発売した。目的はミレニアル世代の消費者を引き付けることだ。
カジュアルにアップデートされた「レッド フリース」コレクション
CEOによると、より流行を意識し、平均価格帯を下げたこのラインは、同社の事業の約8%を占めるようになっている。顧客の60%がミレニアル世代だ。また、同社の顧客は80%が男性だが、このラインではほぼ半数が女性だという。
ミレニアル世代の顧客を呼び込むためには、その世代の管理職が必要だ。61歳のCEOによれば、同社は各店舗を監督するポジションに、27歳の従業員を任命した。
「若い人たちを大いに頼りにしている」というCEOはこの人事について、次のように述べている。
「リバース・メンタリングと呼んでいる。これまでは私たちが若い従業員たちをメンター(指導)してきた。だが、今ではその若者たちが私たちに、何をすべきか教えてくれている」