ブッシュ夫妻の死から考える「タコツボ症候群」と遺産計画

バーバラ夫人とジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領(Photo by Ida Mae Astute /ABC via Getty Images)


高齢の夫婦の場合、相続手続きは迅速に行うことが重要だ。大半の夫婦は、配偶者を退職金の受取人とし、子供を第二次受益者としている。だが、夫婦が相次いで死去した場合には、被相続人の退職金口座の処理が済んでおらず、後から亡くなった方は受取人をまだ指定していなかったということにもなり得る。
問題が生じるのは、そうした場合だ。配偶者に先立たれた妻や夫は、必要な手続きを即座に行い、自らの遺産が希望どおりに相続されるよう手続きしておくことが重要だ。

「物語」の終わりに向けて

配偶者が亡くなった後、すぐにその後を追うのはロマンティックかもしれないが、その場合に備えた準備が不可欠なことでもある。遺産の管理と手続きを適切に行う専門家に相談し、(死期の)タイミングについても戦略的に考えておかなければならない。

ブッシュ夫妻は遺産管理について、適切な準備をしていただろう。夫妻は生存中も、何を重視すべきかにおいて、正しい判断をしていた。バーバラ夫人は1990年代にある大学の卒業式で行った演説で、次のように述べている。

「人生の終わりに、あと1つの試験に合格できなかったこと、もう1件の裁判で勝訴できなかったこと、もう1件の取引をまとめられなかったことで後悔しているということはないでしょう。後悔するのは、夫や友人、子供、あるいは親と一緒に過ごせなかった時間のことのはずです」

編集=木内涼子

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