「過去、現在、未来」を織り込んで、聞き手の共感を呼ぶスピーチを

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スピーチは内容がもっとも重要だと思われている。それは間違いないだろう。しかし、話す内容と同じように、聞き手と共感する伝え方ができるかも大切だ。

実は、どんなスピーチの内容でも使える、共感を呼ぶ話しの展開方法がある。それは、聞き手とあなたの「時間」を共有させる方法だ。話しの構成を「導入、主題、結論」の3段階に分けて説明をしよう。

まず、「導入」部分は、時間を「過去」に戻してから話し始める。自分がここで話すことになった経緯の説明だ。聞き手がすでに知っている事や人と、あなたの関連を丁寧に話す。それで聞き手との信頼関係をつくれる。

くだけたスピーチの場なら、聴衆がすでに知っている人と自分を結びつけて自己紹介をしても良いだろう。たとえば、「〇〇さんによく似ていると言われる△△です」と言うだけでも、聞き手はあなたに親しみを感じるはずだ。冒頭にユーモアがあると、それ以降、聞き手はあなたの話しを楽しみながら聞く雰囲気になれる。

聴衆に媚を売っているようだが、これはマラソンをするのに、沿道から声援をもらっているくらい話しやすくなる。

ライブ感は感動を呼ぶ

次の「主題」の展開では、聞き手と共有する時間を「現在」にする。それには、主題の説明の中に「今朝、今日、たった今にも、現在」といった言葉を入れるようにする。すなわち、話している内容が、なぜ今、注目されているのかを話す。

そもそも、聞き手と話し手が同じ時刻に生きていることは、感動を呼ぶ要因だ。私たちは日ごろ、「今日は良い天気ですね」というように、同じ時を過ごしていることを確かめ合って、絆を深めたりしている。

また、たとえば時差のある海外で行われているスポーツの試合でも、同時刻に行われていると思うと、つい、それが夜中であっても明け方まで観戦してしまった、などという経験があるはずだ。“ライブ感”は共感を生みやすいのだ。

そして、最後の「結論」では、時間の展開を「未来」に向ける。今まで、話してきたことが、聞き手の家族や、次世代に今後どう影響するのかを話す。これは、あなたが未来を見据える視野の広い人だと印象づけるだろう。
 
ただし、予想がつきにくい内容のときは、「現在のデータから予測できるところでは」というように、時を限定することも大切だ。

スピーチをする場合は、このように「過去、現在、未来」というタイムラインを、内容の展開に合わせて使えば、あなたは将来を見越している、現在のリーダーにふさわしい人物だと思われるはずだ。

連載:表現力をよくするレシピ
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文=中井信之

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